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ULTRA AWARD 2010

京都造形芸術大学・ウルトラファクトリーが主催する、世界で活躍できる次代のウルトラアーティストを発掘、育成するコンペティション「ULTRA AWARD」。第1回目の開催となる今回は、42名の応募者の中から厳正なる審査を経て4名と1組のアーティストたちが選抜され、ウルトラファクトリーを舞台にそれぞれ公開制作を展開中。7月からの約4ヶ月間の制作期間を経て、京都・三条art project room ARTZONEでの展覧会場にて最優秀賞が決定する。若きウルトラアーティスト誕生の軌跡をお見逃しなく!

[選出作家/Artists]

諫山元貴/Genki Isayama

http://award.ultrafactory.jp/?cat=8

小宮太郎/Taro Komiya

http://award.ultrafactory.jp/?cat=7

寒川裕人/Eugene Kangawa

http://award.ultrafactory.jp/?cat=6

ときカケ/toki kake

http://award.ultrafactory.jp/?cat=3

橋本優香子/Yukako Hashimoto

http://award.ultrafactory.jp/?cat=4

[審査員/Jury]

長谷川祐子(東京都現代美術館チーフキュレーター) / 浅田 彰(批評家) / 椿 昇(現代美術家) / 名和晃平(彫刻家) / 後藤繁雄(編集者/クリエイティブディレクター) / ヤノベケンジ(美術作家/ウルトラファクトリーディレクター)

http://award.ultrafactory.jp/?cat=9

[スケジュール]

1)応募期間(5月末日締め切り)

2)書類/面接審査(6月)

3)制作(7月-10月)

4)展覧会開催(10月23日-11月7日)

5)カタログ発行(2011年3月)

[特典]

1)個人制作場所支援(ウルトラファクトリー内)

2)制作補助費支給(1名につき上限10万円)

3)制作技術支援(ウルトラファクトリースタッフによる全面支援)

4)展覧会開催(art project room ARTZONEでの展覧会、審査陣による講評会実施)

5)カタログ発行(展覧会カタログ【日/英】の発行)

[応募条件]

京都造形芸術大学 在学生(通信・大学院・専門学校含む)及び

卒業修了生(卒業終了後2年以内/2008・2009年度卒業終了生)

ULTRA AWARD 2010 最優秀賞は諫山元貴に決定

10月24日、100名近い方々にご来場いただきました、ULTRA AWARD 2010 公開審査会。

約1時間半の審査会ののち、審査員陣の話し合いによって行われた協議の結果、

ULTRA AWARD 2010 最優秀賞は諫山元貴 に決定しました。

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諫山元貴

<<Χρόνος / Καιρός(クロノス / カイロス)>>2010  ヴィデオ

光で満たされた神殿のような空間が音もなく崩れていく。壁一面に映し出され

た映像は、焼き入れをしていない磁器土製の柱が水中で崩壊していくすがたを撮影したものだ。

タイトルのΧρόνος / Καιρός(クロノス/カイロス)とは、ギリシア語においてどちらも時間を意味する言葉である。一般的にクロノス的時間とは人間の意識の外で刻々と流れている時間であり、一方カイロス的時間とは内的な個別の時の流れである。

映像のなかで流れている時間はクロノス的時間だが、この意識の外で流れている時間を意識下に、すなわちカイロス的時間として体感したとき起こる感覚とはどのようなものだろうか。

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出展作品のインスタレーションビューなども、これから追って掲載していきます。

アーティストインタビュー③「制作への姿勢」寒川裕人 後半

――自分のオリジナリティはどこにあると思いますか?

自分から出てくる物は、基本的に全部がオリジナルと言ってもいいと思います。体験からのオリジナリティといえば逆に、全くないのかもしれない。ただ、あくまで特異性のポイントを1つ挙げるとしたら、スピード。といえるのかな、という感じがします。ある程度は自分に自信があるのは根拠が無いわけではないのです。例えば、自分の考えていたことと同じことを、いろいろな人がやったり考えている。要は思考の種類や方向性の問題だと思います。そういえば5年ぐらい前に、iPhoneみたいな機器を自分で勝手に考えて、設計図や機能のアイデアを(適当にですが)つくっていたんです。「こんなの出るだろうな」と。そしたら実際に出て、そのときは「先越されたな」って思いましたね。(笑) iPhoneはいいから、良いんですけどね。あれが例えば、展覧会などで「作品として」領域をもって展示されていたらそれこそ驚異的でしょうね。

――制作において、これから一貫して持ちたいテーマは?

僕も含めてだけど、今の人たちは、いろいろな理解しやすいものに囲まれて生きている。それは昇華されてきているから当然と言えば当然ですし、安泰でしょう。そして、そこに引き寄せられている。残念ながら、「わからない」ものは拒んでしまうんですね。すぐに否定して、二極化してしまう。すごく勿体ない。でも、それは大きな間違い−というか問題だと思います。当人にとって分からないものだからこそ、理解しようと思わなければいけないのでは。全てを懐疑的な視点で−とか啓蒙的な意味でもなく、メディアの特性を完全に消化した上で、今(だからこそ)、僕たち(特に若い世代が)はもっと恒久的なものについて考えることが必要なんじゃないかと思います。分かりやすく砕いて言えば、僕は表現として「新しい、面白い」部分は尊重しつつも、それを通してラディカルな部分、根本的な部分が浮かび上がって来る立場を常にとっていきたいと思っています。ヴィジュアルとしてわかりやすくパッケージングはされているんだけど、ものすごくよく考えられているもの。「なるほど」と一度思わせつつ、よく読み込んでいけばそれだけじゃ終わらなくて、もっと深くにある思想が見えてくる。そういった表現を提示できたらと思います。

アーティストインタビュー③「制作への姿勢」寒川裕人 前半

Recent works at TRANS PLEX _TWS Hongo 2Installation,and 1Painting

インタビュー・文 織田真菜

――寒川さんを制作に駆り立てる瞬間は?

駆り立てるという感覚ではないですが、一つ言えるとすれば「対話している」ときでしょうか。あと、時期によるけど、街や公園など、歩くだけで光景がストックされるときもある。人との対話は、アイデアを考える作業と直接連動していて、そこから自分の思考の深度を詰めることが多いです。ソースを、言葉でもビジュアルでもよいのでとかく描いたら、まず人にやんわりとコンセプトの周辺の話をしてみる。それは、自分が考えていたことが方向性的に大きな亀裂があるかどうかの確認作業なのかもしれません。「いいんじゃない」ってなることもあるし、「全然違うんじゃない?」って言われることも、もちろんあるでしょう。どちらにしても、その後さらに詰める。根本的にズレている可能性もあるし、いつも作品のコンセプトを立てるときは自分の中だけで終わらせず、開放される可能性があるか客観視し、問うこと−この繰り返しのプロセスはアートとか制作だけに限られたことではないでしょう。制作に行き詰ったときは、手を止める。そして、一回冷却してみる。本を読んだり、webを巡ったり、全然アートとは関係ない話を友だちとすることも多いですね。

――作品でよく使うモチーフはありますか?

特定のモチーフはあまりないですね。これじゃないと駄目、というモチーフは今のところないです。というか、作品によって自ずと決まってくるのでは。戦略的にキャッチーなモチーフを常に提示するのもありかもしれないけど、それは一つの過去のセオリーだと思います。ただ、色で言えば、白が使われることが多いかな、と。透明で潔癖な印象があるし、すごく中和的なものを感じるのです。美しいけど重い感覚。昔から良く使われてはいますが、それには理由があり、だからこそ使える。

アーティストインタビュー③「制作への姿勢」ときカケ 後半

Kakkun Chair(2008)  中條芙美

――1つの作品にはどれくらい時間がかかりますか?

中條:イメージが決まってから、ガーっとつくってしまう時もあるけど……。あんまり計画的じゃないですね。“のんびりせっかち”っていうのかな。のんびりしていて、締切がぎりぎりに近づいてきた時になって、ガーって終わらせちゃう。もちろん、計画的な方がいいのは分かっているんだけど……。

藤本:私は、制作期間が3週間あるとすれば、2週間は構想、残りの1週間でばーっと縫いますね。構想の方が、時間を長くかけます。構想と試作は区切りをつけない限り、いつまでも続けてしまいますね。

――制作に行き詰まった時の対処法を教えてください。

中條:思い切って、ふらふらーっと出かける。移動時間や行った先で、いろんなこと見つけたり、考えたり。広い所が好きだから、開けたところに行きたいな。

藤本:私は、そこから離れて違うものをつくる。そして、何もしないで、眠る。

中條:寝るのはいいよね。

藤本:寝て、リセットすれば、「さあ、やってみっか」ってなるしね。

嫌なことがあったら、中條とかに話しますね。私は、たぶん心に留めておけないタイプ。そうやって誰かにイライラとかをバトンします。

中條:私は溜めこむつもりはないけど、考え込むことが好きなんです。だから、誰かに話さないと溜まるってこともないし、言えなくてストレス溜めることも、もうダメだってなることもないですね。

――これからも持ち続けたい作品のテーマは?

中條:気持ちが全然見えないものは、つくりたくない。単純に“綺麗”なだけなものだとか。ただ“綺麗”なものをつくりたくなるときが、やってくるのかもしれないけど、今はつくりたくない。感情とか気持ちありきでつくりたい。言葉では表せない感覚を、表現していきたいですね。

藤本:  “感じられる私”は世界に一人しかいないから、その時々での私の感じ方、考え方は大切にしていきたいですね。具  体的なものはないけど、心の内にあることを大事にしていきたいです。

アーティストインタビュー③「制作への姿勢」ときカケ 前半

むしくい(2008) 藤本亜希

インタビュー・文 郡司奈々美

――制作のインスピレーションは、どんな時に生まれますか?

中條:ボケーっとしてる時。一人に限らず、みんながガヤガヤしてる時でも、ぼーっと考えていて「あっ!」とアイデアが舞い降ります。脳がリラックスしている時が、いいのかもしれない。

藤本:私は、移動中。バスの中だとか景色が流れている時に、ふと「これとあれを繋げるの、面白いんじゃない」とか「ああだったら、いいなぁ」って。

――制作でよく使うモチーフはなんですか?

中條:これまで、「動物モチーフが好きなの?」って言われたことはあるけど、意識して使うことはないです。つくる作品によって素材も変わる。ちなみにアイデアを描くときは、0.4mmのHitecペン、って決まってます。

藤本:服の試作に使う生地は、安価で扱いやすいシーチング。でも、本番は作品によって変わります。柔らかかったり、ぷるぷるしていたり、思わず触ってみたくなる生地が好きですね。モヘア、圧縮ウール、メランジとか。必ず使う訳じゃないけど、手触りは大事にしています。アイデアが浮かんだ時に、私が必ず使うのは、PILOTの製図用の0.4mmのシャーペン。LAMYの万年筆も、すごく書き心地がいいです。

アーティストインタビュー③「制作への姿勢」諫山元貴 後半

――自分のオリジナリティをどこに感じますか?

テーマとしてはあんまりオリジナルな感じはしないですが、「時間」ですかね。「意識を超えてある時間」、つまりマルティン・ハイデガーのいう「世界内存在」をどう意識下に持ってこようといった感じです。話は変わりますけど東本願寺に「今、いのちがあなたを生きている」ってスローガンが掲示されていますよね。僕は、初め、その意味が全然わからなかったんですけど、荒川修作の講義を聞いてからピンときて。つまり人間を、地球っていう生命体の細胞と仮定すれば、その細胞、つまり人間が死んだとしても、それは死滅するのではなく質量保存の法則みたいに無くなることはない。ということは、自分が生きていると実感するには、やっぱりその考えを巡らせれるその土台や基盤は何なのか、を意識することが重要なんじゃないかと。けれど人間は情報を区切って考えることが出来るから、自分と世界とを切り離して考えてしまう。俯瞰している状態になる。それはそれで重要だと思いますが、それではものすごく無味乾燥すぎて僕は嫌というか、生きていると実感できない。だから「自分のオリジナリティ=唯一性」を求めるっていうのはそういう状態になりそうで、耐えられない。むしろハイデガーや荒川修作とは違う時や場所にいたのに、考えていることがそれらを超えて類似していることは嬉しいことだと思っています。

――諫山さんは、なぜ作品をつくり続けるのでしょうか。

僕は、たぶんずっと地に足着いてる状態じゃなくて、ときどき浮遊しているから、その感覚を戻したいかもしれません。「地に足が着いてる」という感覚。その感覚について意識したエピソードが海の話とは別にもう一つあるんですけど、一回生の頃、トラックにひかれた猫を抱きかかえたときです。そのとき、猫は内蔵が破裂してたみたいで必死に動き回ってるんですけど、その感触っていうのが猫から発せられる最後の熱量に思えた。「死ぬ/生きる」って感じが伝わってきたんですよね。ろうそくって消えるときに一番輝く、という事実を肌身で感じた瞬間だったと思います。そのときに初めて「俺、生きてたんだ」という感触を覚えました。それを忘れたくないからだと思います

アーティストインタビュー③「制作への姿勢」諫山元貴 前半

壁(2010)

インタビュー・文 小林稜治

――諫山さんを制作にかりたてる瞬間は?

衝動のようなものは、あまりないですね。徐々にわき上がってくる感じかな。1回生のときはなんだか毎日モヤモヤしていたけど、あるとき、目的地を見つけたら、それに向かって突き進むだけということに気がついて。だから「常に」というのが、一番あってる気がします。今は、「世界=自分の意識を変える方法ってなんだ」みたいなことを日々考えながら、常にその方法論を探っている状態でしょうか。制作に行き詰まったときは、ぼーっとしたり、それまでに興味があったことをもう一回探ってみたりしてみます。いっぱい情報を自分に入れて、ピンときたものが今一番必要なモノなのかなと考えますね。

――「世界を変える」ということは、今の世界に不満があるということでしょうか。

2回生の夏くらいに、罰ゲームで全裸で夜の海に入ったことがあったんです。その時感じた感覚を持続したいと思っているんです。今回のプランに「この頃、『恐怖と快感』を自分自身が感じていない、それをいかに日常に取り戻すか」というコンセプトを出していたんですよ。ロボットみたいに生かされてるんじゃなくて、「生きてる快感」を感じながらここにいる感覚を取り戻すかということです。生きてる快感が生まれたら、死ぬ恐怖にもつながるじゃないですか。それは同時に自分が「地に足が着いて存在してる」ってわかる瞬間でもあって、僕にはすごく快感なんです。

アーティストインタビュー③「制作への姿勢」橋本優香子 後半

――制作に行き詰まったときはどうしていますか。

みんなに聞きたい!(笑)もし時間があったら、どこかへ出掛けたり、人と会ったりして気分転換します。けど、時間に追われてて、今すぐ結果が必要なときには、人と話すようにするかな? まずは自分で考えるけど、自分だけで考えていると、ぐるぐると悩んでしまって客観視できなくなるので。煮詰まったときは、自分だけで抱えこまずに人と接するようにします。そうすることで、ヒントが見えてきたりするような気がするから。また、技術的な問題なんかが出てきたりすれば、先生や先輩にアドバイスをもらったりもします。
――これからも持ち続けたい作品のテーマはなんでしょうか。

テーマというか、普段芸術とは遠いところで生活している人たちとの関わりも大切にしていきたいというのはありますね。専門的に勉強しないとわからない作品ばかりになってしまうことは、私にとっては意味がないからです。

アーティストインタビュー③「制作への姿勢」橋本優香子 前半

7.work(2010)

インタビュー・文 李ハヌル

――あなたを制作に駆り立てる瞬間は?

プロとか学生とか関係なくいい作品を見たときですね。あと、作品じゃなくても音楽を聴いたり、どこか遊びに行ったりして影響を受けたりすることもあります。最近はやりたいことが何となく決まっていて、それをもっと上手く表現するためにはどうしたら良いか、日々生活の中で考えている状況です。

――制作でよく使うモチーフは?

具体的なものはあまり思いつかないのですが、これまでは繊細なもの、壊れやすいようなものをモチーフにすることが多かったです。でも最近は、そういうことを少し置いておいて、今までに捕われずに考えるようにしたいと思っています。偏りすぎた考え方にならないようにしたいと思っているので。

――最初につくった作品を覚えていますか?

小さい頃に、ずっと眠そうな表情のお化けとかをつくってたんですよ。くるくるとした形に体が付いてるような。それがたぶん初めてのオリジナルキャラクターですね。(笑)真剣に作品つくろうと思ったのは、うーん……そうですね、浪人のときかな。浪人のときに、まったく上手くいかない少し病んでた時期があって、絵も描けなかったことがありました。そのとき予備校には行かずに、家で好きなことやってみようと思って、布や糸をコラージュしたような作品をつくってましたね。そのときの自由に好きなことをやって作品化する楽しい感覚はいまだに残っていますね。これからもそういう気持ちで作品をつくり続けたらいいなと思っています。

アーティストインタビュー③「制作への姿勢」小宮太郎 後半

――制作に行き詰まったときはどうしていますか?

行き詰まったときは制作はしません! 銭湯や美術館に行くか新幹線に乗ります。あとは引きこもってます(笑)。僕は怠惰でしょっちゅう手が止まるので、行き詰まって手が止まるということはないです。行き詰まったときは基本的に情報収集をします。制作中の作品に関係ない情報、たとえば、ニュース、映画、アニメーション。情報収集をしている間はアイデアは出ないです。メモはできるけれど、それが作品になるかと言ったらそのままでは絶対にならない。それを一回リセットする時間として、銭湯や新幹線を利用します。人間の脳は、暇なときに「暇だ!」って色々考えるらしくて。新幹線って窓の外を見つつも暇じゃないですか。暇な時ほど、ハッ!としてアイデアが出るらしいんですよ。僕の制作はとくにそうなんですが、最初に作業行程が決まっているので、だんだん脳が暇になってくる。だから、制作しながら次の作品のアイデアが浮かんで、作りたくなります。

――アイデアが作品へと変化する過程を教えてください。

出てきたアイデアそのままでは、作品として成立しません。それ自体がまったく別の要素、もしくはなにか違う偶然性が介入することによって成立するんだと思います。「他者と自分」という問題に通じることでもありますが、自分一人の力というより、他の何かの力によってその関係性が構築されていくっていうことがすごく重要だと考えていて。なので、アイデアから最終的な作品にブラッシュアップされるまで、けっこう差があります。作りたい作品、もしくはコンセプトがある程度できあがって、たとえ一度忘れたとしてもまた別の意味が介入してきて、その意味の兼ね合いの整合性が取れれば、作品として成立するという確信がもてます。

――これからも持ち続けたい作品のテーマはなんでしょうか。

ここ何年か制作してきて思ったのが、世界に対してか、もしくはアートに対してか、自分の中で一回終止符を打つということ。自分の中で世界が滅びた後、何が残るのかを考えたいと思いました。僕の中での話ですがなんとなくずるずるとまだ生きれる、みたいなスタンスであることに対して、それはちょっと違うんじゃないかと思って。だったら死んだと仮定して、その世界の中で生まれた、もしくは残ってしまった人間や景色の幽霊のようなものを作りたいと思ったんです。その世界が本当に滅びてからそれを作っても単なる戯言だけど、でもみんな死んでからじゃ意味がない。生きているうちに死後の世界を仮定してみたい。そういった意味で、幽霊や残像というテーマを大事にしています。

アーティストインタビュー③「制作への姿勢」小宮太郎 前半

vide(2010)

インタビュー・文 河原功也

——制作に駆り立てられる瞬間、インスピレーションが生まれるときは?

新幹線の中です。僕の場合、思いついた瞬間に作るということはせずに、アイデアだけストックします。でも、実際作り出すと、自分のイメージと少し違っていたりすることもありますね。あとは、展覧会を見に行ったとき、特にペインティングの展覧会を見たときは、超やる気出ます。ライバル意識とかではなくて、単純にやる気を出させてくれる。何年か前に金沢21世紀美術館でやっていたゲルハルト・リヒターの個展を見たあとは「絵を描きたい!」ってなりました。

――制作でよく使うモチーフなどは?

身体性の裏返しというか、それを体現するために“鏡”をよく使いますね。自分を映し出すもの、そして空間を映し出すものとして重要です。あとは“絵画”。ヴァニタス画という静物画をモチーフとしたり、ポートレイトという写真のシリーズの場合は、肖像画がコンセプトになっています。あと最近モチーフとして興味があるのは“壁”です。壁そのものをどうにか作品化できないかなと思っていて。ひとつ持論としてあるのは、絵画は壁の上にかかってる、もしくは乗っている。壁画だと壁の上に描かれていますね。床にしても天井にしてもそうですが、仕切られた空間そのものが絵画の、なにか必須条件のような気がするんです。壁は空間を仕切るものじゃないですか。その壁にどういったアクションを起こして自分の身体もしくは意識を拡張、変化させられるか、去年くらいから考えています。

[緊急のご連絡です]長谷川祐子氏の個別審査会 日程変更のお知らせ

11月6日の開催を予定していた長谷川祐子氏の個別審査会ですが、このたび、諸般の事情のため、急遽11月2日に開催日が変更となりました。

皆様には、大変ご迷惑をおかけいたします。謹んで、お詫び申し上げます。

以下の日程で開催いたします。当日は、作家も全員在廊しています。

皆様のご来場を、心よりお待ちしております。

長谷川祐子氏 個別審査会

日時:11月2日(火)13:00~15:00

会場:art project room ARTZONE

アーティストレポート 橋本優香子8

暗室がある教室の前で、橋本さんを発見。彼女は自分の背より大きい何かを綺麗に拭いていた。彼女にそれは何かと聞くと、「モチーフ台だよ」という返事が。モチーフ台というのはフォトグラムを制作するときに使うものだそうだ。印画紙の上に、この透明な台を乗せ、そこにモチーフを置いてから、撮影が始まる。今回の特大モチーフ台は、出品作品のために彼女自身の手で作られたものである。彼女が今、実験しつつ使っているモチーフはまだ秘密だが、モチーフ台から作品の大きさは予想できるかも。気になる結果は、10月23日から始まる展覧会にて。(李)

アーティストレポート ときカケ8

ときカケの制作も終盤に差し掛かってきた。そろそろ作品そのものだけではなく、展示上の問題についても対処しなくてはならない。ときカケの場合は作品に大きな音がともなうので、その対策が必要になる。この日ウルトラの工房を訪ねると、ときカケの藤本が空気を吸引するための装置を稼動させる際の音の軽減と、機械を長時間動かしたときに発する熱を逃がす実験をしていた。防音対策としては、機械全体を覆い、その中で溜めこんでしまう熱だけを逃がす仕組みをつくったらしい。それによって音はかなり小さくなり、熱も安定した温度を保つようになった。(郡司)

アーティストレポート 諫山元貴8

いよいよAWARD展のOPENまで、一週間弱。参加作家と主催のULTRA FACTORY、そして会場となるARTZONEスタッフとの間で打ち合わせが行われた。搬入の段取りから、展示環境に対する意見まで、スタッフと共に一つ一つ検討していく。諫山の場合は「静寂」という環境が重要な意味をもってくるため、同じフロアで展示される別作品との兼ね合いも重要になる。それぞれが最高の状態で展示を行うため、真剣で熱いやりとりは簡単には終わらない。(小林)

アーティストレポート 小宮太郎7

10月9日。小宮のアトリエを訪れると、あの部屋全体を埋め尽くしていた小部屋がきれいさっぱりなくなっていた。そして今度は大量のベニヤ板が床や壁に散乱している。自分の考えている作品に合うものを選ぶため、いろいろな種類のベニヤ板を用意したそうだ。

ベニヤ板に線を引いていく。少しでも手元が狂うと今まで踏んできた工程をもう一度繰り返さないといけない、やり直しが許されない作業だ。余分な時間は残されていない小宮には、正確に慎重に、そしてすばやくこの作業をこなす必要がある。線を引き終わるとアトリエから木工室へと場所を移し、ベニヤ板の切断作業を開始。木の粉まみれになりながらもひたすらベニヤ板を夜遅くまで切断し続ける。(河原)

アーティストレポート 諫山元貴7

ULTRA AWARD関連イベントの一つ、小山登美夫氏×木ノ下智恵子氏のトークショー。東西若手作家発掘のキーパーソンがそろったこの大舞台で、選出作家たちによるプレゼンが行われた。急遽、諫山も広島から駆けつけ、久しぶりの全員集合となった。小山氏からは質問も投げかけられ、トーク終了後には持参したポートフォリオを見てもらうなど、緊張しながらも作家には充実した時間になったようだ。帰り際、諫山はこんなことをつぶやいた。「もっと上手くプレゼンができればなぁ……」若干の悔しさをにじませながら、彼は翌日には広島へと戻っていった。(小林)

アーティストインタビュー②「バックボーンを知る」小宮太郎 後半

――昔と今の作品の違いや変化はありますか?

学部のころの作品は“身体”をモチーフに表現していて、直接的に自分の体毛や、体を模ったりしていました。そこから段々と自分の身体の境界、皮膚のようなものに興味が出てきて、それまではこの目の前にある指とか、髪とか、そこまでが「身体」だと考えていたんですが、いまこの肉体が置かれている状況、例えば自分の部屋の中でのくつろぐ場所はだいたい同じ場所だと思うんです。そこでのすごし方とか、体勢とか、その「他と関係している自分」という空間を含めた“身体”の方がより正確に“身体”を捉えているような気がして、その境界線が広がっていくような形で、空間や、自分以外のものを作ることのほうが自分も他人も共有できる“身体”を作り出せるのではないかと思って今は作っています。一番の大きな変化は、身体の捉え方が拡張されて他者に行き着いたことですね。自分の体毛であるとか自分の型をとったものより、もっと大きい意味での身体=空間、もしくは鑑賞者という身体に対してどうアプローチするかということを考えています。

――作品を作る上で大切にしていることはありますか?

他者の目、もしくは周りの環境ですね。ある種、自分の目を信用しないということが一番大切かもしれない。出来る限り、自分を透明な状態にして、他人の目を使うという意識が強いかもしれないです。あと最近は、出来るだけ作品に質量がないようにしたいなと考えています。イメージ自体に物質感や重さがない状態を目指したい。例えば幽霊みたいな。ものを使ったとしても、それが“もの”という風に映らずに、イメージとして入ってくるような状態というのがいいなと思います。それは目の前にある“もの”だけれど、完全にイメージに変換されてしまうということに面白さを感じます。

アーティストインタビュー②「バックボーンを知る」小宮太郎 前半

インタビュー・文 河原功也

——大学入学まで、どのように過ごしてきましたか?

実家は自営業で両親共働き、そして年が10歳以上離れた兄と姉がいます。小学生のときには、兄も姉も大学生ぐらいで、家に帰ったときは一人のことが多かったので練りケシで人形を作ったりして物語を作って戦わせてました。もちろん友達とも遊んでましたよ。あと絵を描くのは好きだったので、でも美術館とかはほとんど行ったことはなかったです。中学高校は美術部に所属して、ほぼ合宿だけ参加していました。新潟で食べたご飯がおいしかったです。現代美術っていうものは大学に入るまでは存在自体も知りませんでした。

――大学へ入学してからはどのように過ごしていましたか?

洋画コースに進学したので、絵を描いていました。ある公募展で日本の甲冑をモチーフにした作品で賞をもらったんですが、「こういうのを描けばいいのか」って思ってそのあとも鎧を描いていました。でも、描いているうちに面白くなくなって「なんでこれ描いているんだろう」って疑問に思って。じゃあ、何を描こうかって考えたときに何も描きたいものが出てこなかった。そこから、自分は何が本当に好きで、何を描きたいのかということを改めて考える機会になりました。と同時に“好きなものを描く”ことが自分の表現なのか疑問になって、そこで好き嫌いを抜きにして僕自身が創作する意味、まずは自分自身を捉えなおそうと考えて、その時は自身のコンプレックスに興味が湧き、それを作品化することで自分の存在を確かめようとしました。

――影響を受けたモノ・コト・ヒトについて教えてください。

学部の頃に教えてもらっていた小谷元彦さんは、“痛覚”や“身体性”を通して作品を作っていらっしゃって、とても影響を受けました。自分の作品制作のスタートは、そこからかなと思います。もちろんそれ以外にも、これまで会ったすべての人から影響は受けています。それを自覚しながら生きているつもりです。「自分がこういう思想を持っている」ということよりは、誰と話すか、どんな話をするかが重要で、人と話しているなかから言葉が引き出されることも多いです。制作しているときでも、制作する前でも、影響を受けにというか、自分の言葉を引き出すために誰か話し相手を探しに行きます。

アーティストレポート 諫山元貴6

今回の作品の要ともいえる撮影段階には、強力なバックアップ体制が敷かれている。今までの映像作品においても、諫山は専門家に撮影協力を依頼していた。そして今回、撮影アシスタントとして諫山をサポートする彼は、広島市立大学の後輩だという。その他にも、水槽に柱を並べる作業や水替えなどを手伝うアシスタントが2名ほど。一見、作者の手あかがそぎ落とされたような作品に見えたとしても、実はこうした人々が作品の裏には隠れているのである。(小林)

アーティストインタビュー②「バックボーンを知る」橋本優香子 後半

――作品をつくる上で、大切にしていることはどんなことですか。

こだわりは自分なりにあって、つくる上では妥協したくないといか。求めるイメージを追うこと、クオリティーは大切にしたいですね。作品をつくりつづける理由というのは、これ以上面白いことってないなとすごく思うからです。作品をつくって、それを発表して、それを見て反応してくれる人ががいたり、同じようにつくる人たちがいて、その人たちの自分とは違う考え方に気づかされたり……やっぱりこの世界が好きですね。

――影響を受けたモノ・コト・ヒトについて聞かせてください。

難しい質問ですね(笑)。音楽だったら、小さい時から坂本龍一とかは好きでした。でもなによりも、他の作家さんの作品でいいものを見たときには、ただ単純にその作品に出会えてよかったと思います。まあ「作品」に限られませんが。自分がつくる理由もそこから来ていて、人をポジティブにできるような力を持った作品を私もつくりたい。私自身が他の人の作品でそうしてもらったように、人の気持ちを何かしら満たすような、そんな作品をつくりたいと思っています。だから、影響を受けたモノ・コト・ヒトは自分が感情を動かされた作品であったり出来事、すべてなんだろうと思います。

アーティストインタビュー②「バックボーンを知る」橋本優香子 前半

インタビュー・文 李ハヌル

――大学入学まで、どのように過ごしてきましたか。

小学校から高校まで吹奏楽部で、ずっと音楽をやっていました。楽器はクラリネット。絵は楽器を始めるもっと前から好きだったから、小さい頃から趣味で描いていたりはしたけれど、学校では吹奏楽部に入ったんです。小さい頃の夢は、絵描き。でも、中学生のときには保育士になりたいと思っていました。東京出身なこともあって、東京藝大なども受験したけど、浪人して。それで自然の流れで(笑)。作家として好きな先生もたくさんいらっしゃったので、関西だったら京造だと思ってこの大学に来ました。関東にはない雰囲気であったり人に会えて、最終的にはよかったなと思ってます。

――最初につくった作品はなんですか?

真剣に作品をつくろうと思ったのは、浪人のときかな。浪人のときに、それまで美大生になりたいという気持ちが「作家」になりたいという気持ちに変わりました。予備校のときにまったく上手くいかず、少し悩んでた時期があって、絵を描けなくなったことがあって。そのときには予備校には行かずに、家で布や糸を使ってオブジェのようなものをつくってました。そのときの自由にやりたいことに従って手を動かす感覚はいまだに残っています。つくる快感というか。これからもそういう気持ちは大切に作品をつくり続けられたらいいなと思っています。

――大学に入学してからのことを教えてください。

2回生の時に参加したウルトラファクトリーでのプロジェクト、名和晃平氏がディレクターを務める「KNA プロジェクト」の活動が一番本格的な活動でしたね。1回生のときは、まだまだ浪人気分が抜けないでいたというか……なんだか妙に悩んでましたね。洋画コース出身なので、当初の作品は油彩でした。浪人のときには、線で描くということを主に行ってました。しっかりと見えなくても確実にそこにある存在をテーマにして、見えそうで見えないものを画面につくりだしたいと思っていて。初め描いていたのは、白い絵で、近寄ったら「あー、描いてある」とわかるみたいな作品とか。線の表現については、初めは物を具体的に線で描写することから、その後要素が削られていって、線のみになっていきました。それしか必要じゃないと思うようになったので。大学に入る前から大きくテーマは変わっていない気がします。どんなに気づかれにくいような些細な存在であっても、それをしっかり見たいと思った。表現として、私が「線」を作品の中でよく使う理由は、自分の関心が人間の皮膚の皺、年を重ねることで見える皮膚の表情であったことから、なんとなく「線」を引いてみたことから。そこから始まったように思いますね。線を重ねるということは、細い弱いものが強固になっていくイメージにも繋がるかなと思ったので。まあ、とりあえずひっかかるからやってみようと思ったんです。総合造形コースを選んだ理由は、単純に面白そうだったからというのもありますが、可能性を感じたというのが大きいです。自分の表現を狭めたくないし、油彩以外にやりたかったこともありましたし。言いたいことに適した表現方法を探したくて。先生方もいろんなジャンルの方が集まっていたし、先輩たちも面白い人が多かったし。総合造形コースに入ってまだ半年だけど、結構変化はあったように思います。今、写真を扱っているということについてもそうですね。

アーティストインタビュー②「バックボーンを知る」諫山元貴 後半

――作品を制作する上で大切にしてきたことは?

自分のことをどれだけ真剣に考えられるか、真のエゴイストとナルシストはどうすればなれるのか。これは、かなり友人の親父の影響だけど(笑)。でも別に流されているわけではないですよ。ちゃんと納得して大切にしてる。

――影響を受けたモノ・コト・ヒトはなんでしょう?

小学生のときからずっと読んできた手塚治虫、特に火の鳥。大学に入ってからだけど松岡正剛『17歳のための世界と日本の見方』とか。後者の方は、先述の友人に教えてもらって読んだら面白くて。その友人とは以来、夜な夜な議論してたなー、ヘタな授業より学んだような気がする。ヒトで言えば、宮本亜門さん。1回生と3回生の時に氏のプロジェクトに参加した際、アドバイスをたくさん頂きました。「元貴はどういうこと考えて、というか核になってる思想みたいなものはあるの?」と聞かれて、その当時考えていたことなどを答えたんですけど、すごく丁寧に聞いて頂けた。こんな若造の拙い話をよく聞いてくれましたよ、ホントに。もう一人に、宮島達男さん。アーティストサミットの時から話を聞いてもらってたり、ドクメンタとヴェニスビエンナーレとミュンスターが重なった3回生の時に、一緒に旅行に行かせてもらったりしましたね。今でも印象に残るのは、ジョットの教会の絵を見に行って、一日の最後に「今日どうだった?」と聞かれたんですよ。僕が「ステンドグラスがきれいでしたね」みたいに言ったら、「お前全然ダメだ」と。「ちょっと現代美術を知ってるだけで調子乗ってんじゃねー!歴史を勉強しろ!!」みたいなことを言われた。もう涙を浮かべるくらい悔しい思いをしましたね。人間の「意識」があるからこそ、芸術があるわけじゃないですか。言ってしまえば、動物は「死ぬ」ことを意識せず、ひたすら生きるだけですよね。でも人間は意識する。死んだら、わざわざ墓を作る。そういった人間の意識の積み重ねとしての「歴史」を勉強しないといけない。そう思いましたね。

アーティストインタビュー②「バックボーンを知る」諫山元貴 前半

インタビュー・文 小林稜治

――大学入学まで、どのように過ごされてきましたか?

高校では大阪市立工芸高校のプロダクトデザイン科に通っていました。

そこで銀を使って指輪などを作っている彫金部に入ったんです。もしかしたら、指輪をつくれたら、モテるんじゃないかと思って。まぁ、別にモテませんでしたけど(笑)。けれど細かい作業が面倒になって、先生が鍛金や鉄彫をしていたので、その技術を教えてもらって彫刻みたいなものを作っていましたね。無言で汗かきながらハンマーで鉄叩いて、、、あれは当時、かなりのフラストレーションの解消になったな(笑)。それとは別に、学校の図書館に置いてあった『MODE et MODE』というファッション雑誌で、アレキサンダー・マックイーンやジョン・ガリアーノを知ってしまって衝撃を受けました。それから、テレビのファッション通信という番組でそのデザイナーのショーとか観ていました。マックイーンのショーとか本当に格好良かった…亡くなってしまって残念です。それがあって、最初はファッションの世界に行きたいと思ったんです。文化服装とか上田安子の服飾学校を見学しに行って、親にも相談したんですよ。けど「大学に行ってからでも遅くないし、いろんな体験してから決めろ。」と言われまして。それで、まぁ急ぐこともないかと思って、高校でしてきたことに一番近い、芸大(京造)に行くことに決め、美術工芸学科の立体造形(当時は彫刻)コースを受験しました。夏に入学が決まったんですけど、その後ヒマだったんで美術館巡りをしたんですね。名古屋市美術館に行った時にアンゼルム・キーファーとクリスチャン・ボルタンスキーを観て、これまた衝撃を受けた。

――入学されてからは?

入学してからは、ハチクロみたいな青春キャンパスライフをやってみたかったんですけど、無理で(笑)、この大学が主催していた第一回世界アーティストサミットの学生スタッフ実行委員(フォース)に入ったんです。

――世界アーティストサミットに参加されてどうでしたか?

本当にアートで世界を変えられるのか知りたかったんですけど、いまだにそれは分かりません。革命みたいに直接的に変えられはしなくても、間接的には変えられるんじゃないかとは信じていますけど。アーティストサミットを体験して強く感じたのは、アーティストは本当に人間っぽいっていうか、不可能だと思えることを真剣に考えているということ。それは何か嬉しかったです。

アーティストレポート 橋本優香子7

展覧会オープニングを控えて最終的な展示計画を詰めるためにARTZONEを訪問したアーティストたち、ヤノベケンジ氏、スタッフ。この日、橋本さんは展望を実現させるため、ARTZONEの中でじっくりと、イメージを築きあげていった。橋本さんは、スタッフに元々計画していた、展示壁を利用してホワイトキューブを作り、その中に平面作品を展示する案を打診。しかしながら、その案にはスケール感などの面をはじめ、様々な問題点も。考えていることが実際にうまく機能するかどうか、その予想を立てるには、やはり経験豊富なスタッフの提案に耳を傾けなければならない。ウルトラスタッフたちとの面談によって、橋本さん自身の作品の魅力をより引き出せる展示計画が練り上げられていく。(李)

アーティストレポート ときカケ7

ARTZONEにて作家たちが、展覧会の具体的な展示プランについてヤノベケンジ氏を交え話し合ったときのこと。大掛かりなセッティングを行うときカケは、搬入経路はもちろん、電源の確保や照明をどう当てるかについても考えなくてはならない。ときカケは当初の予定とは変更があったものの、無事展示場所が決まったようだ。しかし作品に必要な機材の数のことなど検討しなければいけないことはまだある。展示の際突然のアクシデントを回避するためにも、今後も念入りに展示について考えることになりそうだ。(郡司)

アーティストインタビュー②「バックボーンを知る」寒川裕人 後半

—影響を受けたモノ・コト・ヒトについて聞かせてください。

今は、母の死が大きな出来事として残っています。今自分を動かしているものは、それ以外の何ものでもないといえるかもしれません。母は、ずっと闘病していたのでほぼ寝たきりでしたし、そういう現実から逃げる場所として、自分で作品を作っていた部分はあるのかもしれません。しかし母の死に直面し、そのエネルギーに愕然とするわけです。そうしたら、もう数多ある薄っぺらい平面とか見てられない。ここにずっと可能性があるとは思えなくなった。今まで平面でやっていたけど、自分自身の表現に、もっと足さないと駄目だと思ったんです。それはインスタレーションかもしれないし、ゲームかもしれない。もしかしたら、小説でそれと同じくらいのエネルギーがあるかもしれない。そういったことが総合的にできるのは何だろうと考えて、今、現代アートといわれるものをしているわけです。

あとは、9.11の同時多発テロ。もう10年経つけど、年数経てば経つほど気になっています。僕がそう思っているわけではないけど、「if」として考えて語弊を恐れずに言えば、あれがひとつの作品だとしたらすごい映像でしょう。それを小学5年生くらいの時に、何回も何回も見て刷り込まれている。その時の衝撃を覚えています。スケールが桁違いで、ああいった出来事に造りもので同じようなことで勝とうとしても話にならない。周りの同世代の人たちも、どこかで関係している事柄だと思います。

———寒川さんは大型イベントのディレクションなども行われていますが、それはアート活動の一部ですか?

広い意味ではプロモーションですが、個人的には場を作るという、それ自体を作品と思ってもいいかなと。「そこから何か生まれればいいかな」っていう。そういったディレクションなどもあるのに、なぜあえてアートと言われる場にいるかというと、「自分にとって」難しいからですかね。アートは専門的に極めるわけだけではなく、いくつもの分野の知識や技術を吸収した上で、さらに計算し、処理して、思考して、それにプラスして経済的や物理的なことなど、現実的な部分がかかってくる。その上で表現しなきゃいけないから、とてつもなく難しいことだと思います。でも、その並大抵じゃできないはずの部分にあえて着手することに、アートの可能性を感じているんです。

アーティストインタビュー②「バックボーンを知る」寒川裕人 前半

インタビュー・文 織田真菜

——大学入学まで、どのように過ごしてきましたか?

父が結構絵がうまくて、小さな頃からパースなどを教えてもらっていました。ですから美術の授業は得意でしたが、進学校、というかエスカレーター校だったということもあって美大に行こうとは全然思っていなくて。その頃はゲームに惹かれていて、最初はゲームや映画のアートディレクターになりたいとも思っていたんです。結局、ゲームから映画、アートや広告と、幅広く手掛けることができると当時言われたデザインを選びました。デッサンを始めたのは、高2、高3くらいの時。基本的な絵は誰でもやればうまくはなるので、予備校では、制作にどう向かえばいいのかとか、すごく根本的な部分を勝手に学ばせてもらった感じでした。僕の中ですごく大きな時期です。藝大系のデッサンとか構成とか立体と並行して、グラフィックやドローイングなども独学でかなりの数を作っていました。

——大学に入学してからは、どんなことをしましたか? どんな作品をつくっていましたか?

実はほとんど造形についてリサーチしていなかったのです。京都造形に来たのは、とにかく先生陣がすごい人が多いという噂は聞いていたので、とにかく利用しようと思っていろんな授業や先生の話を聞いていました。

大学に入った頃は、とにかくグラフィックをやっていました。あと、またこれは前からですが、年間600〜700点ほどのドローイング。印象的だったことは、デザイナーの葛西薫さんに、たまたま僕の絵を見ていただいく機会があったんです。高校3年生の時に描いたペインティングのシリーズ「Abstract architecture」をすごく褒めて下さって。その時にうっすらとですが、所謂デザインをしながらアーティストとして作品も発表する、どちらもできるならやればいいのではと考えるようになりました。

——作品をつくる上で、大切にしていることはどんなことですか?

難しい質問ですね。ただ、今ひとつ意識しているのは、ただ美しいのみの作品を作るということではなくて、既存の価値構造を変えてしまうこと。価値が変わったってもんじゃないくらい、ガクンと衝撃を受けるような表現をすること。それができたら本当に面白いでしょう。ただ、作品が最低限美しいことは大切ですけどね。というかそれはもう僕がこだわっているとかじゃなくて、たぶん自然とそうなってしまう。まあそれも違うとなる時期が来るのかもしれませんが。

アーティストレポート 橋本優香子6

高原校舎内、暗室での制作に同行。彼女は暗室に入ってから自分が持ってきた制作の道具を出し、それを綺麗に並べて、ノートを開いた。そのノートにはモチーフと光の距離、今日実験する内容が事細かに記載されていた。準備が終わり、部屋の電気を消して、制作がスタートする。フォトグラムの制作は何も見えない暗闇で行わなければならない。呼吸さえ聞こえない何分間の沈黙が過ぎ、印画紙に作品が現れた時、初めて彼女から笑顔がもれる。(李)

アーティストレポート 橋本優香子5

日ざしが強い日、橋本さんは自転車に製作道具を乗せ、京都造形芸術大学 映画学科の校舎である高原校舎内の暗室に向かった。彼女はそこで毎日、フォトグラムを製作している。フォトグラムはカメラを使わず、感光材料の上に直接物体を置いて光をあたって光と影だけで映像構成をする表現技法、またそういった技法による写真作品を示す。被写体を再現するのではなく、実際にない現象を作り出すことで、写真表現により創造的な機能を付加させるのである。纎細で神秘的な雰囲気のフォトグラムは、彼女が持つ世界観によく似合う。(李)

アーティストインタビュー②「バックボーンを知る」ときカケ 後半

――影響を受けたモノ・コト・ヒトについて教えてください。

藤本:「あきらめない」精神の面では、高校の部活の先生と、絵の楽しさを教えてくれた画塾の先生。部活と画塾は、人間的に成長させてくれる場でしたね。あと、小さい頃に、一人で道具やルールをつくって遊んでた経験は、今にすごく影響を与えているような気がします。私はゲームをどうやってつくるか、というところから考えていたから、ゲームで与えられたことをこなしていた子よりは数段上だったんじゃないかと自負しています!(笑)

あと、「こんとあき」っていう絵本は、今でも大好き。お母さんに昔買ってもらって、今でも宝物です。“あき”って名前が一緒だから親近感もあるし。何かあったら読み返したくなる本。

中條:私は読むのに時間がかかりすぎるので、読んだ人の感想を聞く方が好きです。人によって違う感想を言ったりするのが面白い。漫画なら、最近好きなのは、ウィスット・ポンニミットさん。タイ人の漫画家で、言葉は少ないけどすごく気持ちが伝わってきます。

藤本:漫画なら私は井上雄彦さん。特に好きなのは「リアル」。車いすバスケットボールの話で、私は車いすバスケをしたことがあるからわかるんだけど、映像でも表現できないくらい描写が生々しい。

――作品をつくる上でのこだわりは?

中條:こんな過ごし方、暮らし方があったらいいなぁというストーリーを大切にしています。ストーリーをつくるのは途中まで。続きは、作品を観る人が決めて行くものだから。こだわりは作品によって本当に違うし、貫く言葉は特に無いです。ALESSIワークショップの時は、デザインやコンセプト自体は気に入ってもらえたんだけど、「タンブラーはコストがかかるから、置物として提案して」って言われて。商業としても考えなきゃいけないんだろうけど、でも一緒にお出かけしたいし。置物では、自分の提案とは違うから譲れませんでした。作品や自分の考えを発表する機会に、自分自身の無自覚なこだわりに気づかされる時はあるかな。

藤本:私は、作品を形にするプロセスを一番大切にしていますね。いつも、どこまでつくりたいものに対して忠実に、自分の気持ちをぶれずに保てるかに注力しています。どうしてもファッションは、人に買ってもらわないといけないという側面があるんですが、その中でどれだけ評価に流されず、つくりたいという気持ちを大切にできるかには葛藤がありますね。万人受けするアイデアも、本当に自分のつくりたいものと合致していたらいいんですけど、そうでない場合は、折り合いを見つけるのが難しいですね。作品を生み出すのは、想像したものが形になって現れた瞬間に立ち会いたいから。そんな単純な理由です。つくることでしか味わえないあの感覚は、お酒や嗜好品では得られない感情だと思います。

アーティストインタビュー②「バックボーンを知る」ときカケ 前半

インタビュー・文 郡司菜々美

――大学入学まで、どのように過ごしてきましたか?

中條:小さい頃から、ものをつくる人になりたくて、ダンボールで小物をつくったりしていました。

周囲の環境にも恵まれていて、近所のおじちゃんが、すごく切り絵が上手で、一緒に龍を彫ったりしていました。鱗の一枚一枚まで丁寧に……。図工や美術の時間は、遊び時間だと思ってしまうくらい楽しかったです。小学校の時に「美術しかしない学校がある」と父にきいて「ずっと自由時間のがっこうがあるなんて,夢みたい!」ってなったんですけど、その時はそれが美大だってことは分からず。のちのちに「あれは美大のことだったのか」って知りました。

藤本:私の地元は、兵庫の播州織の産地で、近所で生地を作っているのが当たり前な毎日でした。小学校の頃は、学校も行かずに、テキスタイルをしている父親の会社でずっと遊んでましたね。当時の宝物は、『図工図鑑』っていういろいろなものの作り方が載った本。ゲームも、おもちゃも、あまり買ってくれない家だったんで、自分でつくるしかなくて、ほしい物は自分で全部つくってました。スーパーファミコンとか(笑)。

――大学に入ってからどんなことを学んでいますか?

中條:デザインを学んでいます。建築、本、写真、木工、いろんなジャンルにおけるデザイン。1年生の時には、ALESSIワークショップにも参加しました。ALESSIの商品には、携帯するものが少ないから、「一緒におでかけ」というコンセプトで、マトリョーシカみたいなタンブラーを企画して、プレゼンしました。

藤本:私は美大に進学するのだからファッションの専門学校ではできない事をしたいと思っていて、アートディレクター・森本千絵さんとの共同制作に参加したり、2008年度のMondayワークショップ教科書制作、本やCDジャケットのデザインなど、ファッション以外のことばかりしていました。でも、2年の終わり頃に「私は一体何しに来たんだろう……なんか違う。服と関係ないことばかりしてるからだ!」って苦しくなったんです。その後、進級制作で、手で糸を編む事をテーマに選んで、その作業にのめり込んでいったんですが、「ああ、服っていいなぁ」って、しみじみ感じました。その時は、彫刻をつくり上げるようなイメージで、ニットを制作していました。服を服ではない、もっと別のものとして捉えてみたいという気持ちがあって。ニットという素材は、不定形で、その人の体にあわせて伸びるのが魅力的だし、その人だけにしかつくれない形があるって、すごいなと思って。そう考えたら、ニットは、人の体を彫刻してるようなものだなって思えてきたんです。

――お二人の共通点は?

藤本:まず、住んでいるマンションが同じだよね。服がかぶったり、出かけたいタイミングが同じだったり……。「川行きたいな」って思ってたら、中條からメールがきて、同じこと考えていて“こいつも行きたかったんだ”みたいなこともよくある。でも、どっちかっていうと違うタイプです。共通点だらけだったら、こんな関係にはなってないだろうし。

中條:お互いに無いものがあるから一緒にいる感じですね。

アーティストレポート ときカケ6

10月10日、展覧会を間近に控えたときカケが強度の強いビニールをアイロンで溶かしていた。焼き切った発泡ウレタンとホースを、そのビニールで包み、その中に空気をおくりこむ。しかし、空気をおくりこむための機材をウレタンに仕掛けてあるため、ビニールもその形状を考慮した形に溶かし、立体的につなぎ合わせる必要がある。困難な作業だが、服飾の技術を生かし、立体的にビニールを溶かし成形していく藤本。無事、サイズぴったりにはめ込むことが出来た。(郡司)

アーティストレポート ときカケ5

10月8日。ときカケが作品テーマである『呼吸』に関して、取材をするため某大学の医師を訪ねた。人が寝ているときと起きているときの呼吸の違いや、さまざまな状況によって呼吸の仕方が変わってくることなど、呼吸の仕組みや成り立ちについての専門的な領域に踏み込み、取材を行う。医師の話を録音したり、積極的に質問したりしていた2人は、これからの制作に参考になる知識を手に入れたようである。写真は、大学前にて佇む中條。(郡司)

アーティストレポート 小宮太郎6

Gallery RAKUで行われていた、神馬啓介個展、関連イベントのトークショーに小宮もゲストで参加していた。トークテーマは「身体」。過去の作品を順番にスライドにうつし、小宮は「身体性」に関する彼なりの考えを展開した。「自分のコンプレックス」という人目につかせたくない要素をあえて人前にさらすことで、コンプレックスをコンプレックスとして捉えなくなった。そういった、自身の作品による価値転換が自らに起きたことを、小宮は話した。彼の過去作にも強く興味が湧くトークショーだった。(河原)

アーティストレポート 橋本優香子4

美術工芸学科のパソコン室で、橋本さんは作品に使う資料のプリントアウトをしていた。今、橋本さんはウルトラアワードに出す作品に対し、様々な実験を行っている。彼女が今、主に制作しているフォトグラムという写真の作品はこれからも色んな形で発展する可能性を内包している分野である。だからこそ、難しく、もっと工夫が必要だと彼女は言う。これからの色んな実験を通し、どういう形で彼女だけのオリジナリティ-あふれる作品を生み出すのか、楽しみである。(李)

アーティストレポート 寒川裕人6

寒川裕人が制作中によく聞く音楽は、kraftwerkやBjörkの曲だそうだ。「Björkは暗すぎるけどそれが良いな、と。このごろ少し共通項を感じたから。けっこう制作の時に聞いていて、作品と何となく似ていませんか?」と話してくれた。創作の際には、やはり他の分野からのインスピレーションを受けることがよくあるようだ。Björkの曲が対極にあるものが共存している世界である事と、寒川の作品のテーマである「生と死」の対照性、理性的であり論理的なことを感性で伝えようとしている点に、確かに共通するものを感じ取ることが出来る。(織田)

アーティストレポート 寒川裕人5

寒川裕人に好きなクリエイターについて聞いてみたところ、彼は「デイビッド・カーソン」と答えた。デイビッド・カーソン(David Carson)はアメリカのグラフィックデザイナーであり、彼のタイポグラフィーのデザインは世界的に有名である。寒川がデイビッド・カーソンを知ったきっかけは、受験時代に友人から海外系雑誌をたまたま見せてもらい、とても気に入ったそうだ。寒川自身もグラフィックデザインを手掛けており、彼のグラフィック作品は、デイビットカーソンと共通するものが少なからず見受けられる。写真はデイビッド・カーソン作品集「The End of Print: The Graphic Design of David Carson」「David Carson:2nd Sight」。(織田)

アーティストレポート 諫山元貴5

遂に撮影が始まった。今回のために用意されたのは、180×90×60の大型水槽。水を換えるのにも横に倒せないサイズなので、ポンプが必要だという代物である。水槽の中に、柱を入れ撮影が始まる。撮影の際には水面の反射が映りこむのを避けるため、室内の明かりを消し、投光器の強烈な光だけにしなければならない。とはいえ、工房には窓もあるため、撮影はもっぱら夜の8時から朝方にかけて行われているという。彼らにとっては、制作のためなら昼夜逆転も大した問題ではないようだ。(小林)

小山登美夫氏×木ノ下智恵子氏 トークセッション「若き才能との出会い/育成」

「ULTRA AWARD 2010」関連プログラム

トークセッション「若き才能との出会い/育成」

出演者:小山登美夫(Tomio Koyama Gallery)/木ノ下智恵子(大阪大学コミュニケーションデザインセンター特任講師)

聞き手:ヤノベケンジ(美術作家/ウルトラファクトリーディレクター

「ULTRA AWARD 2010」の関連企画第一弾として開催される本トークショーでは、村上隆、奈良美智を輩出した、日本を代表するトップギャラリスト、小山登美夫氏、関西の若手アーティスト発掘、プロジェクト創出のキーパーソン、木ノ下智恵子氏をゲストに迎え「若き才能との出会い/育成」をテーマに、若いアーティストたちに求めること、若き才能を発掘する際の着眼点について、お話いただきます。

日時:2010.10.14[Thu]18:00-20:00

会場:京都造形芸術大学・ウルトラファクトリー

定員:50名(先着順/申込不要)

「WORK IN POGRESS 2010」にて、出展作家陣が公開制作を行ないます!

2010年、10月11日より開催される、ウルトラファクトリーで現在進行中の数々のプロジェクトを公開するイベント「ULTRA WORK IN PROGRESS 2010」にて、ULTRA AWARD出展作家陣の公開制作が全日展開されます。ファクトリー内、5つの作家ブースにてそれぞれ行われる、リアルな作品制作の様子を是非体感してみてください!

※出展作家陣は、全日工房内で作業を行いますが、作業時間は各作家によって変動いたします。ご了承ください。

「ULTRA WORK IN PROGRESS 2010」

期間:2010.10.11[Mon]-10.17 [Sun]※期間中無休

時間:10:00-20:00

場所:京都造形芸術大学・ウルトラファクトリー(至誠館地下1階)

アーティストレポート 小宮太郎5

ARTZONEにてどのような展示になるかを確認に行った小宮は、展示場所の性質、展覧会の全体像を考えた上で、作品プランを急遽変更することを決めた。先日お伝えしたレポートにあったような小部屋を作ったり鏡を吊るすといったことは一切なし。現場に足を運ぶことで考えが固まったらしい。会期まであまり時間はない。「会期までは地獄のような日々が続くだろうな」と話す小宮。彼の展示場所はARTZONE1階、入り口からすぐの空間だ。(河原)

アーティストレポート ときカケ4

ときカケと話をされているのは、ULTRA AWARDのディレクターであるヤノベケンジ氏だ。9月某日、2人はARTZONEでの展示上の問題やその解決方法について相談していた模様。展覧会をする以上、自分の構想と現場の状況が合致しないことはよくあることだ。耐重量の問題、使用電力のことなど、常に問題は山積みである。制作現場の最先端で活躍をしているアーティストの方々に直に意見を聞けることは、ULTRA AWARDにおけるひとつの重要な特徴だ。(郡司)

アーティストレポート 小宮太郎4

10月5日(火)。大学院にある小宮のアトリエ内には、いつもとは別の光景が広がっていた。そこに、小部屋が建っていたのである。アトリエ内をほぼ埋めるほどの大きさなので妙に迫力があった。作品の実験のために2日ほどで建てたようだ。中をよく見るとアクリルのマジックミラーが5枚ほどぶら下がり、奥の壁にも1枚貼り付けてある。小部屋を構成している木材や配線レールなどは大学院のものを使用しており、Gallery RAKUやGalerie Aubeの照明なども借りていた。光と影が織り成す特殊な空間を作り出そうと、彼の実験は続く。(河原)

アーティストレポート 橋本優香子3

大学内のカフェで自分の作品を前にして小宮さんと話をしている橋本さんを発見。現在、総合造形コース3回生である橋本さんにとって、今は大学院生である小宮さんは大先輩。以前彼女に話を聞いたとき、制作が詰まったりしたときには経験の豊かな先輩方の話を聞くだけでも力になると言ってくれたのを浮かび出した。2人はライバルだが、同時に相談しあうこともできる関係だ。(李)

アーティストレポート 寒川裕人4

田村俊明 (京都造形芸術大学 芸術表現・アートプロデュース学科)

「寒川裕人に関して、まず最初に言えることはクール。だけど親しみやすい。能力で言えば一級品で、仕事の早さにおいても大体出来てるのだけど、気持ちが全く擦れてなくてフレッシュ。「美術でもっと面白いことやろう」って気持ちがありますね。彼に関して特筆すべきは、全く焦らないということ。作品制作も、絵画であれば消して描いてを繰り返していく所を、彼の場合はぶっつけ本番というか。その割にやっぱり全く焦りが無いというか。大学2回生でULTRA AWARDに選出されたり、色んな展示に呼ばれたりとかして、すごいってチヤホヤされいて得意がってもいいのに、「いや、まあ適度に自分のペースで」って感じで。常に余裕があるから、底が見えない。そのわりにはフレッシュで。そういう所が彼の魅力だと思います」(織田)

アーティストレポート 寒川裕人3

千合洋輔(2Logica / 京都精華大学 デジタルクリエイションコース)

2Logicaとは、寒川裕人と千合洋輔による映像ユニット。今回、千合さんにコメントを頂いた。「寒川さんは、柔軟かつ自分の思想の軸がしっかりしている、というのが素直な感想です。自分の軸を持ちつつ、それを上手く状況に応じてずらして、柔軟に対応して方向を変えつつ、進んではるなっていう。常に向上心を持っていて先を見る目があるし、自分の勝負出来るフィールドをとても考えている。アートもデザインもどっちも出来るというのがすごい。グラフィックしか見たことがなかったのですが、アート作品の方を見せてもらったらびっくりして。すごくパワーがもらえましたね。僕が持ってないものをいっぱい持っているので、すごく刺激がもらえます」(織田)

アーティストレポート ときカケ3

制作の際、予測できない事態が起きることはどうしても避けられない。9月25日、ときカケにアクシデントが。制作に使う大事な機械が突然動かなくなったらしい。しかしこの日は強力なアドバイザーが現れた。専門的な知識を詳しく知れるこの機会に、ときカケは時に質問をしながら熱心に、話に耳を傾ける。プロの助けもあったことでどうやら問題は解決したようだ。事無きを得た2人はノートに向かい、この日も制作会議を始めた。(郡司)

アーティストレポート 寒川裕人2

9月中旬、ULTRA FACTORYオフィス内にて、寒川裕人はテクニカル・スタッフとULTRAAWARDに出展する作品プランの相談をしていた。彼の構想を実現可能にする為の試案が次々と出されていった。サイズ・重量に耐えうる強度、構造、使用する素材、コストや梱包など、さまざまな問題が見えてくるが、今回の話し合いで前進した様子。(織田)

アーティストレポート  橋本優香子2

橋本さんが、ある展覧会のために発注していた作品が届いているときの様子を取材しにいった。作品は、フォトグラムと呼ばれる種類のもので、印画紙の上に直接物を置き、感光させることで作られる写真作品である。彼女は時間をかけてゆっくりと発注された作品のサイドや裏側まで一つ一つ丁寧にチェックし、業者の方にさまざまな質問をしていた。彼女自身の、作品に対する端正なこだわりを感じた一場面だった。(李)

アーティストレポート 諫山元貴4

諫山は乾燥を終え、型から取り外した柱の「ばり取り」を行っていた。ばり取りとはその名の通り、型と型との隙間からはみ出してしまった部分(=ばり)を削り取る工程である。今回のようにシンプルで物体そのものに注目させるような作品に、余分なノイズを入れてしまうわけにはいかない。薄くてもろい柱を削る音が、夜中のアトリエにかすかに響いていた。(小林)

アーティストレポート 諫山元貴3

ウルトラファクトリーで他の作家が制作を続ける中、京都から約380km。遠く広島の地に制作拠点を移した諫山元貴は、いよいよ映像素材の撮影に取りかかろうとしていた。今回のモチーフは柱。材料となる石膏を撹拌し、型に流し込み、乾燥させる。まるで工場のように、ひたすら同じ柱を生産する作業が続く。とはいえ、撮影を始めてしまえばそれがどう崩壊していくのかは作家自身にも分からない。だからこそ、納得できるワンカットとの出会いを求めて、彼はひたすら作り続ける。(小林)

アーティストレポート 小宮太郎3

8月25日の一風景。ULTRA FACTORYから場所を移し、大学院の校舎の片隅で作品に使うフレームの調整を行っている。風通しがよくとても気持ちのいい場所だ。塗装にスプレーを使用していた。スプレーは筆塗りでは難しい均一でムラの無い平滑な塗装面が得られ、またぼかし表現や微妙な陰影の表現ができるなど多くの利点がある。さらに揮発性も高いのですぐに乾く。偶然、総合造形コースの後輩が作業中に来ると先日行った岡山県にある美術館の話や河口龍夫先生の展覧会「螺旋の時」などの話を聞かせてくれた。(河原)

アーティストレポート 小宮太郎2

小宮が手にしているのはディスペンスガンという手を汚さずに簡単に接着作業ができるアプリケーターである。精密に加工されたシリンジと小型軽量で頑丈なピストル状の型で構成され、電源ケーブル等が必要のないハンディタイプの吐出ガンだ。彼の作品の細かな部分はこういった道具が使用されている。また、寒川、橋本の2名と展示のことで話し合いを行っていた。選出作家同士での話し合いを繰り返すことで情報共有と共によりよい展示を目指していることが伺える。どのような展示が行われるのか今から楽しみだ。(河原)

「ULTRA AWARD 2010 EXHIBITION」

「ULTRA AWARD 2010 EXHIBITION」

会期:
2010.10.23[Sat] – 11.7[Sun]  会期中無休/入場無料
平日13:00-20:00/土日祝12:30-20:00(最終日のみ17:00まで)

出展作家:
諫山元貴/Genki Isayama
小宮太郎/Taro Komiya
寒川裕人/Eugene Kangawa
ときカケ/toki kake
橋本優香子/Yukako Hashimoto

会場:
art project room ARTZONE

http://www.artzone.jp/

関連プログラム:
1.トークセッション「若き才能との出会い/育成」
日時:2010.10.14[Thu]18:00-20:00 *展覧会会期前の開催ですので、日時にご注意ください。
会場:京都造形芸術大学 ウルトラファクトリー
出演者:小山登美夫(Tomio Koyama Gallery)/木ノ下智恵子(大阪大学コミュニケーションデザインセンター特任講師) 聞き手:ヤノベケンジ(美術作家/ウルトラファクトリーディレクター)

2.審査員による公開審査会
日時:2010.10.24[Sun]17:00-
会場:art project room ARTZONE
審査員:浅田 彰(批評家)/椿 昇(現代美術家)/名和晃平(彫刻家)/後藤繁雄(編集者/クリエイティブディレクター)/ヤノベケンジ(美術作家/ウルトラファクトリーディレクター)

3.審査員・長谷川祐子氏による個別審査会
日時:2010.11.6[Sat]15:00-17:00
会場:art project room ARTZONE

アーティストインタビュー① 「ULTRA AWARDを受賞して」橋本優香子 後半

――今回の作品プランを聞かせてください。

最終的に発表するメディアは決まっています。フォトグラム(※)とペインティングです。でも、今自分がペインティングをやろうとしていることに対しては、いろいろな方から意見をもらっているんです。私のペインティングは抽象で、歴史的に特に多くやり尽くされているという意味で、「作品がすごく弱くなる可能性があるかも」と言われているんですね。今の現代アートの現状からペインティングの表現自体が結構難しいらしいんです。今、追求されることの少ない表現であるという意味でもフォトグラムに挑戦してみようかと思っていますね。

――つい最近、誕生日を迎えられた橋本さんですが、新しい1年をどんな気持ちで取り組みたいですか。

強くなりたいなと思いましたね。私の作品はよく「弱々しい」とか「よく見えない」とか言われたりしますけど、決して弱くはないんだよ!みたいな(笑)。アワードでは、作品も多くの人の目に触れるわけだし、これまで以上にいろいろなことを言われるんだろうけど、厳しい言葉に対してもしっかりと向き合い、自分なりの反応をしていけたらと思っています。自分自信が強くなれないと作品も強くしてあげられないし、人にも伝えていけないと思うので。

――「ULTRA AWARD」に期待していることは?

ヤノベさんが「ULTRA AWARDはこれからの美術史に残る」と言っていたのですが、実は嬉しい反面、プレッシャーもあるんです(笑)。絶対、その言葉通りのものにしていきたいとは思いますけどね。「ULTRA AWARD」で自分たちも成長できて、私たち以外の人たちとの繋がりも様々な形でどんどん広がっていけたらすごいなと思いますね。だから今はとにかく、自分が納得出来るものを残せるようにやっていきたいです。あとは、1人では見えないことを、多くの人と関わりながら、ここで経験していきたい。今回のことは作家はもちろん、それ以外にも多くの人たちと出会える貴重な機会だと思っています。また、今回一緒に選出された作家さんたちとはこれからもグループ展や公募展など、どこかで絶対にまた会う機会があるような気がするんです。そういう関係があるってすごく嬉しいことですよね。彼らとまた会ったときに私だけ、成長していないなんてことにはなりたくないですね。

※フォトグラム……カメラを用いず、印画紙の上に直接物を置き、感光させることで制作された写真作品。

アーティストインタビュー① 「ULTRA AWARDを受賞して」橋本優香子 前半

インタビュー・文 李ハヌル

――現在の心境は?

やっぱり単純に嬉しいですね。今回のように、誰かに認めてもらったり、可能性を買ってもらって頂いているという経験は、今までなかったことなので。だから、ちゃんと全力でそれに反応できるものをつくりたいと思っています。一緒に選ばれた作家さんたちもみんな面白い、やる気のある人たちなので、そういった方々と一緒にできることは、すごく良い機会だなと思っています。最終的には、できることは全部やりたいし、負ける気でやるつもりはないです。ちゃんと後悔しないように頑張りたいです。

――応募の理由は?

ウルトラファクトリーには、名和さんのプロジェクトで第一期の頃から関わっていました。「ULTRA AWARD」については前から知っていたんです。一番の応募の理由は、やっぱり見て頂ける審査員陣ですね。この方たちに自分の作品を見てもらえる機会はそうそうないので、とりあえず、見てもらうことだけでも作品を出す意味はあるなと思い、絶対に応募しようと考えていました。普段からいろいろなアドバイスをしてくださる先生はもちろん、今まで関わったことがなかった長谷川祐子さんや後藤繁雄さん、浅田彰さんに意見をいただけることも楽しみです。

アーティストインタビュー① 「ULTRA AWARDを受賞して」小宮太郎 後半

――今回の作品とこれまでの作品の違いは?
根本的な違いはないですね。自分が考えていることを作品で表現する、という意味ではこれまでと変わらない。ただ、それが「ウルトラファクトリーで制作をするから」「ULTRA AWARDというコンペディションだから」ということを踏まえたものになるのかは、わかりません。だけど、今回このアワードが掲げているような「ウルトラな作品」を自分は作れるのか、その名前を持つほどの強度とはなんなのか今は考えていて、これから突き詰めていくつもりです。僕の作品は、アイデアを発想して、実際につくった後から、急に変化したりするので、まずは考えるより先に手を動かす。つくりながら、やるしかないと思っています。

――話は変わりますが、坊主にしたのは今回のアワードと何か関係がありますか?気持ちの変化があったのでしょうか。
アワードと直接関係ありませんが、先日、一つ前の展覧会が終わって、すぐ次の新しい作品をつくり始めなくてはいけないという状況にあって、ここで自分をさら地にしようと。もう1回、1本1本育んでいこうと思って(笑)。中学くらいから、たまに剃っていたんですけど、大学入学してからは制作の転換期や反省したときに坊主にします。

――「ULTRA AWARD」に期待していることは?
機材や設備が整っている上、テクニカルスタッフの人たちの熟練度がとても高いので、うまくコミュニケーションをとって、自分の作品のクオリティを上げたいです。審査員の方たちとも同様にコミュニケーションをとることで、自分を高めていければと考えています。今回の作品では、鏡やガラス、アクリルのミラーも使おうと思っているので、それらの加工がウルトラではどれくらいできるのかすごく気になってますね。

アーティストインタビュー① 「ULTRA AWARDを受賞して」小宮太郎 前半

インタビュー・文 河原功也

――受賞したときの気持ちは?
1次審査が通ったときは、嬉しい気持ちも半面、どうしようという気持ちでした。その後に、2次審査で面接があることがわかっていたし、今回の審査員陣の前で自分の作品をプレゼンテーションしなくてはいけないと思うと胃が痛かったです(笑)。2次審査が終わって、合格通知が届いたときも、やっぱり嬉しかったです。その分プレッシャーは増しましたが、でも、そのときは、やるしかないなと決意が固められました。

――最優秀賞をとる自信は?
賞となると、正直言ってわからないです。僕はいろいろな意味で、人の目を使って作品をつくります。視覚芸術という意味では、当然ですが、僕の作品は回転したり、鏡を使ったり視覚的なトリックを扱うことが多いので、他人の目からどう見えているかということが作品にとっても重要なんです。自分で作品を作っていても、目が慣れてしまって、作品が本当に良いかどうか、他の人にとってどのように見えているかということも自分自身だけはわからない…。人の反応の方が素直だし、そこから自分では気づかないことも出てくるし。なので、客観的に作品がどう評価されるかはいつも未知数。そういった意味では、賭けのようなものですね。ただ、そういう外部からの目は、作品制作にプラスに作用することも多いです。外部からの目という意味では「今回のアワードの中で一番の年長者」というプレッシャーをうまく利用しながら作品をつくっていけたらと思います。

――応募した理由はなんだったのでしょうか。
一番の応募理由は、審査員の人たちに作品を見てもらえるという、またとない機会だから。あとは、制作費用と制作場所が与えられるというのも魅力ではあります。関西には、かつてヤノベケンジさんや名和晃平さんなどを輩出したキリンアートアワードがありましたが、それを経験してきた人たちが新しくアワードを手がけているということで、「あとに続くぞ、今度は自分の番だ」という、憧れの気持ちもありました。

アーティストレポート 小宮太郎1

ULTRA FACTORYの工房にて、小宮太郎の作業場を取材した。諫山元貴と共に作品に使用する鏡を梱包材から取り出しているところだった。作業台の上に鏡を置き終えると、作品の外枠となる黒いフレームを重ね合わせたり、小さなネジを外したりと細かい作業を繰り返していた。一切しゃべらずに、細心の注意を払いながら黙々と作業を続ける。使用している素材が鏡ということもあり、少しの油断が命取りになる。傍でカメラを向けているこちらも緊張するほどの集中力は、彼の大きな武器である。(河原)

アーティストレポート 諫山元貴2

9月23日から広島県の宮島にて開催される「Between Scrap and Build」に諫山元貴が参加する。この展覧会は宮島中心部に位置する建造物(家屋)のリノベーションに伴って実施するもので、改装前・工事中・改装後という全三期構成となっている。各会期ごと、三様の姿で同一作品(あるいは同一作品の発展・展開)が展示されるという。もしかすると、彼が本アワードに出展する作品の片鱗をこの展覧会で見ることができるかもしれない。(小林)

「Between Scrap and Build」

http://artsite.jp/kakiya/index.html

アーティストレポート 諫山元貴1

今回のUA選出作家の中で唯一、京都造形大外からの参戦をしている諫山元貴。制作の第一段階を終えた彼は次なるステップに移るため、一度本拠地である広島に戻って制作をすることになった。彼が京都を発つ前、ULTRA FACTORY内にある制作現場を訪ねた。そこにあったのは、巨大な水槽(水)と白い陶器…いや、正確には陶器になる直前の土塊。一体、これらのシンプルな素材=《もの》がどんな作品へと変容していくのだろうか。かねてから、『不定形』や『浸食』などがキーワードになってきた彼の作品は、一度ULTRAから離れることで更に神秘のヴェールに包まれていく。(小林)

アーティストインタビュー① 「ULTRA AWARDを受賞して」寒川裕人 後半

——今回の応募プランについて聞かせてください。

インスタレーションを予定していますが、現時点での作品プランが最終的にすべて実現できれば完璧だ、とは思ってないです。例え実現したとしても、そこからブラッシュアップされていくのが前提です。僕は、表現が面白いとか、彫刻としてなにかすごく綺麗っていうのはそこまで好きじゃなくって、そういう造形美に特化したものは、世界にすでにたくさんある。この世界には、めちゃくちゃ綺麗で誰にも勝てないようなものも、絶対いくつか存在するんですよね。個人的な例をあげると、例えば空とか、あれより綺麗なものは未だに作品として見たことがない。だから、「今」アートをやる上でもっと何が大事って、やっぱり思想的な部分だと思うんです。思想とか体験から出てくる作品がすごくシンプルでいい。単純にビジュアルのインパクトが先頭に来る作風を抜けて、思想をいかに構築し作品に落とし込めるかということが、今は頭にあります。もちろん、だからといって感覚的な側面がおろそかになって良いという訳ではないのですが。

——話は変わって、名前の由来についてお聞きしてもいいですか。Eugeneというのはローマ字読みではないですよね。

僕はアメリカで生まれたので、もともと英語表記が先についた名前なんです。だから、日本語の「裕人」という表記は何でも良かったそう。「Eugene」っていうのは、フランスの画家のEugene Delacroix(ユージン・ドラクロワ)と名前が一緒なんです。アメリカにもEugeneって名前の人が結構いて、この綴りでいけば、ローマ字読みしなくて済むので、海外の人も結構すぐ分かってくれる。たぶん、将来のことを考えて、親がつけてくれたんだと思います。

——「ULTRA AWARD」に期待していることは?

現時点では、まずテクニカルな部分をフォローしてもらえるということ。ウルトラファクトリーは設備が整っているし、真摯に話せば真剣に答えてくれるテクニカルスタッフもいらっしゃるわけですから。あとは、学内の教授たちやウルトラファクトリーの方々、学生の方々と関係をつくっていくことですね。今回つくる作品が、結果的にシリーズ作品になって、それがすごい強度を持っているという、今までの自分とはまた違った良い仕事が出来たらと思っています。

アーティストインタビュー① 「ULTRA AWARDを受賞して」寒川裕人 前半

インタビュー・文 織田真菜

——現在の心境は?

こういった機会は使わないと損だな、と思って応募したので、受賞できたのは素直に良かったかなと思います。ただ、どちらにしろこれは過程に過ぎないし、浮かれないで今やるべきことをやって行きたい。最優秀賞を獲れるかについては、分からないです。先生たちが良いっていう作品を意識的につくることも出来るのかもしれないけど、長いスパンで見てそれが今の自分のためになるのかどうかはまた別の話。賞を獲るという観点のみから作品制作をすることは無いです。このアワードでは、突き詰めて出来上がった結果が評価されて、自然に賞が獲れるっていうのが理想ですね。もちろん、僕より何個も年齢が上の人たちとバトルするっていうのは、そんなに簡単なことではないのですが。

——応募の理由は?

ご縁ですね。僕がこれまでにつくってきたものを、様々なきっかけから変える必要性が出てきた。そのときにたまたまこのアワードがあったという感じです。軋みなく、タイミングがヒットした。今までずっと平面作品をつくってきて、評価をくださる方もいたんですけど、もっと表現の幅はあるわけだし、いろんな側面からインスタレーションをやらざるを得ない状況になったので、「これはやるしかないでしょう」という感じです。アワードは自分の可能性の幅を実際に、半強制的に広げるための良い機会だったのです。

アーティストインタビュー① 「ULTRA AWARDを受賞して」諫山元貴 後半

――唯一の他大学(広島市立大学)からの参戦ですね。

広島では、発表の場が少ないんです。年に1回、柳幸典さんが始めた「広島アートプロジェクト」がありましたが、年々規模が縮小していて……。「広島アートプロジェクト」も、最初はトム・フリードマンをはじめ海外の一流アーティストも参加していたんですが、現在は少し寂しくなってしまっていて。なので、京都と広島と少し距離はありますが、「ULTRA AWARD」は、僕にとっては作品をしっかり発表できる機会なんです。

――今回の作品プランと以前までの作品との違いは?

僕は、以前から、壷や塔などシンボリックな造形物が崩壊していく様子を撮影した作品を作ってきました。ただ最近、自分が取り扱っているシンボリックなモチーフが、逆にノイズになって、自分が伝えたいことの邪魔をしてしまっているんじゃないかという気がしていて。だから今回は、自分が何を一番に伝えたいか考えて、崩壊していく「時間」の感覚を感じてもらえるような作品を予定しています。映像作品を作ってきて、3年目になるんですが、それだけ経てば作品も熟してくるし、ここで最も純化された、美味しいところを出せたらと考えています。今回で映像作品のシリーズは一旦卒業する予定だし、最高の作品にしたいという気持ちです。

――ULTRA AWARDに期待していることは?

とにかく作品をいろいろな人に見てもらえる場所を探していました。あとは、次の活動につながるということですかね。あるアーティストがいるんですが、長谷川祐子さんに見いだされてブラジルや中国でも展示する機会を得て、今もますます活動の幅を広げています。まぁ、その方のようにというわけではないけど、作家を続ける限りは絶対に海外に行って発表をしたい。この「ULTRA AWARD」が、そのひとつの足がかりとなれば嬉しいですね。

アーティストインタビュー① 「ULTRA AWARDを受賞して」諫山元貴 前半

インタビュー・文 小林稜治

――現在の心境は?

合格通知をもらって、すぐ親に連絡しましたね。「これから京都に通うことになるから、定期券を買ってください」と(笑)。受賞したとき本当に嬉しくて、手の震えが止まらない状態でした。でもその後、しばらくは不安でいっぱいでもあったんですけどね。審査員が豪華過ぎるので、当然のことではありますが、絶対に中途半端な作品は出せないというか。良い意味での緊張感があった。ただ、今ではもう作るのみと覚悟を決めています。

――最優秀賞をとる自信は?

もちろん取りたいですが、あまり賞に気を取られ過ぎないようにはしています。そこにとらわれすぎると、制作するときに変な“欲”みたいのが出てくると思うんですよ。それよりはもっと純粋に、前の自分をいかに超えられるかとか、きちんと観る人たちに伝わるような作品を作りたい。賞は後からついてくるものだと思うので。

――応募理由は?

ULTRA AWARDを知ったのは、広島から帰省して、名和晃平さんたちと飲み会に行ったときでした。そこで、「ULTRA AWARDっていうのがあるから、出してみたらどうだ」と名和さんに勧めて頂いて、こんなものがあるのか、と。もちろん制作費補助や技術支援にも惹かれましたが、僕の場合、なにより一番驚いたのは、審査員の先生方の顔ぶれでした。特に、審査員の長谷川祐子さんには以前からすごく興味があったんですよね。瀬戸内国際芸術祭で長谷川さんのお話を聞く機会があったんですが、すごい分かりやすくて、面白かった。だから、今回の審査員の方々のことを聞いた時点で、「受賞するしないは関係なく、とにかく一度作品を見てもらわないと!」と思ったんです。

アーティストレポート ときカケ2

ウルトラ工房内にて制作中のときカケを訪ねた。藤本さんはアイロンでビニールを溶かし、中條さんは作品に使う素材を縫い合わせているなどして、熱心に作業をしていた。二人は最近特殊なホースと、「エアーコンプレッサー」という機械を購入したそう。エアーコンプレッサーは空気に圧力をかけて出す装置とのことだ。コンプレッサーにホースをつなげ、そこから圧縮した空気を出す、という機構を作品に取り込むそうだが……。さて、その「空気」の行く先はどこなのか。少しずつ輪郭が浮かび上がってきた作品の前で、想像が膨らむ。(郡司)

アーティストインタビュー① 「ULTRA AWARDを受賞して」ときカケ 後半

――2人ユニットで応募したのはなぜですか?

中條:それぞれの専門であるファッションデザインと空間デザインをつかって、作品をつくりたいという想いからですね。

藤本:私は服をつくりはじめた頃から「服と空間で何かできないか」という想いが頭にあって、ずっとそこに可能性を感じていたんですよね。空間と服が合わさると、作品としての広がりがもっとあるんじゃないかと考えていて。私は、服って、ただ体にまとうだけじゃなく、周りの空気もその服の一部だと感じているんです。さらに、その服を肌で感じることで着ている人に力を与えられる影響力が服にはあるんじゃないかって。その点では服というのは、空間的であったり、体感的だったりする。中條の専門は空間デザインだし、彼女と話すと視野が広がる。じゃあ一緒につくろうよ、といういきさつですね。

――今回のために2人ユニットを組まれたんですか?

中條:今回のためにではないですね。これは、ただのきっかけというか。たまたまタイミングがよくこの話があって、じゃあ良い機会だからって感じです。普通にしゃべっている間に2人で妄想を膨らませたりして。でもお金もないし、やり方もよくわからないみたいな。

藤本:それに、「場所もないねー」と話していて。つくりたいのに、一歩も進めないという経験はこれまでも何回もあったので、今回のアワードはすごくタイミングが良かったんですよね。

――「ULTRA AWARD」に期待していることや、野望などはありますか。

藤本:私は4年間でやりたいこと、気になることは全部やろうと思っているんです。でも、デザインとは別の、もっとアート寄りな表現に挑戦していない気がしたんです。しかも、応募して場所や賞も与えられていて、みんなでつくるというようなことは経験がなかったので。だから今回は、未知への挑戦という感じ。やってない領域をやり遂げることで、自分の視野が広がることを期待しています。

中條:私は、自分のことを欲深くないと思ってるけれど、すごい貪欲って言われたことがあるんです。私はありえないことがすぐそばで起こってほしいといった願望が秘かにあるんですが、それを実現する方法がよく分からなくって。ざっくり言うと魔法みたいなことが起こってほしいんです。そのための技術を知れる環境があるということが、今回一番楽しみで、期待しているところ。今まで考えてきたことを妄想で終わらせるのではなく、実際に起こせるかもしれないチャンスだなって思っています。

アーティストインタビュー① 「ULTRA AWARDを受賞して」ときカケ 前半

インタビュー・文 郡司菜々美

――現在の心境は?

藤本:「ULTRA AWARD」を受賞して、なにより制作に打ち込める場所や良い環境を与えてもらえたことが嬉しいです。

中條:純粋に制作に集中できることが一番ですね。

藤本:きちんと期間も決められていて、広報の方やさまざまな立場の方々が動いてくださっているというのも今までに経験がないので、とても新鮮。しかも、わからないことがあったら詳しいスタッフの方や審査員の方にも相談できる環境にあるので、新しい表現にも挑戦してみようと考えています。

――応募の理由は?

藤本:もう衝動的に、ですね。4回生ですし、この機会を逃したらつくれないと思ったんです。「つくりたい!」っていうモチベーションが高かったときに、ちょうどこのお話があったので、これは応募するしかないと思いました。

――今回の作品プランについて聞かせてください。

中條:「いろんな差を増大させて見せたい」というのが、これから作りたい作品プロジェクトのテーマになっていて、今回の作品はその中の呼吸編です。

藤本:2人でもよく話すんですが、情報やいろいろなものが身の回りに溢れていることで、現在、自分という軸がぶれてしまっているんじゃないかって。だから、「私」というものとか、「人」や「もの」のラグ(lag=二つの事象間の差)を表したいというのが出発点なんです。その中で、自分の基準になるもの、私たち一人一人にある呼吸やリズムとかそういうものを使って、観た人がそれを連想できて体感できるような作品になればいいなと思っています。

中條:作品の完成イメージは、2人の頭の中ではもう決まっています。でも、それを実現するためにはテクニックも必要で。だけど、まだ使わなきゃいけない機材も触っていないので、今はまだ手探り状態ですね。

藤本:やってみたい実験や素材をいろいろ試してみて、という段階ですね。今は、作品制作に必要な、空気に圧力をかけて放出する機械など触らせてもらっています。でも、それはウルトラファクトリー内だったらできるんですけど、展示で会場には持っていけないんですよね……。まさに手探りの状態ですね。

アーティストレポート 寒川裕人1

「NEW DIRECTIONS#2 TRANS-PLeX」を控えた寒川さんの制作現場を訪ねると、彼は情報デザイン学科の工房スタッフにインスタレーション作品のサイズについての相談をしていた。写真に収めようと作業台に近づくと、以前に彼がウルトラファクトリーで加工していたモチーフを発見。スプレーで白く着色するためにシートが天井まで張られていた。9月末に行われる「NIPPON ART NEXT」への出展も予定している彼はいくつもの作品を手がけており、大忙しな様子であった。ULTRA AWARDの作家達も出展中の「TRANS-PLeX」は、トーキョーワンダーサイト本郷にて9月26日(日)まで開催中である。(織田)

「NEW DIRECTIONS #2 TRANS-PLeX」

トーキョーワンダーサイト本郷にて開催中の「NEW DIRECTIONS #2 TRANS-PLeX」に小宮太郎、橋本優香子、寒川裕人の3名が出展しています。長時間に渡った搬入作業でしたが、出展者たちが互いに自身の作品の説明をしたり趣味の話で盛り上がるなど、現場はとてもいい雰囲気。3名も、台北芸術大学の選出学生たちとの交流を通じて多くの刺激を受け、制作に対する課題のみならず、展示やコミュニケーションの在り方に関しても多くを学んだようでした。若き精鋭たちを集めたこの展覧会では「新しい世代のアート」の一端に、確かに触れることが出来ます。

「NEW DIRECTIONS #2 TRANS-PLeX」

http://www.tokyo-ws.org/archive/2010/07/new-directions-2-trans-plex.shtml

アーティストレポート ときカケ1

作家にとって、制作で使用する素材や特殊な機械について専門家にお話を伺うことはとても大切だ。多くの専門的な意見を取り入れて理解することから、作品の物質的な強度が作り上げられていく。今回ときカケが作品を持参して見学を行ったのは、電動工具を製造販売している大手企業、Makita。様々な製品を取り扱っている同社だが、2人の今回の目的は掃除機だ。社内にて、様々な種類の掃除機を作品と連結させて向かい合う。「作品に空気を利用する」と語るときカケだが、ここからどのような作品が形作られていくのか。アトリエスペースで試行錯誤を重ねている彼女たちの姿に、大きな期待が高まる。(郡司)

アーティストレポート 橋本優香子1

ULTRA AWARD 2010の選出アーティストには、ULTRA FACTORY PRESSとARTZONEよりそれぞれに担当がついている。各担当はアーティストの制作場所に訪問したり、インタビューなどを通して彼らの姿を記録し、世の中に発信していく。橋本さんのアトリエを訪ねると、アトリエ内には制作に関する実験用の様々な素材や、イーゼルの上で育てている植物が見えた。彼女らしい繊細な雰囲気にあふれた場所だ。インタビュー時にULTRA AWARD 2010のプレフライヤーを渡すと、嬉しそうに「頑張ります」と力強い一言。これから出来上がる彼女の作品が楽しみである。(李)

ULTRA AWARD 2010 DOCUMENT始動

ULTRA AWARD 2010 DOCUMENTは、アーティスト達の姿と本アワードの舞台裏に迫ったドキュメントです。アーティスト達の制作風景やロングインタビューなどを通し、ULTRA AWARDが作り上げられていく過程を克明に記録していきます。写真は、8月にULTRA FACTORY内にて行われた広報用写真の撮影風景。アーティストたちの個人ポートレイトや全員集合写真などが、本格的なライティングセットの元に撮り下ろされました。気づけば6時間にも渡る長丁場となった撮影会は、アーティストたち同士が交流を深める機会にもなりました。

【選出学生】小宮太郎

vide(2010)

小宮太郎 / Taro Komiya

1985年、神奈川県生まれ。2008年、京都造形芸術大学 芸術学部 美術工芸学科 総合造形領域卒業。

2010年、京都造形芸術大学大学院 修士課程 芸術研究科 芸術表現専攻修了。現在、同大学大学院 博士課程 芸術研究科 芸術専攻 総合造形領域在籍。

絵画や鏡などをモチーフに「イメージとは何か」を考え、作品制作を行う。回転や振動といった現象を用いて視覚のイリュージョンを生み出す立体作品、空間そのものを絵画(虚像)空間へと移行させるインスタレーションなどを展開。

[展覧会歴]

2006年

「neo adolescence[第二思春期]」(GALLERY RAKU/京都)

「ART BEAT KYOTO 2006 flowing good energy」(Tearaimizu-cho Place/京都)

2007年

「ENDLESSEND[無限ノ予言]」(GALLERY RAKU/京都)

「ENDLESSEND[五感と予感]」(art project room ARTZONE/京都)

2008年

「京都造形芸術大学卒業制作展2007」(京都市美術館/京都)

「BOARDING LOCATION 2」(海岸通り沿いギャラリーCASO/大阪)

「混沌から躍り出る星たち展 2008」(ギャラリーAube 、京都)(青山スパイラル/東京)

京都造形芸術大学大学院、神内・名和ゼミ「教員と学生とゲストアーティストによる 「小立体+ドローイング」」展(ギャラリー門馬/北海道)

「Bottom Coat ~瞬間の根源~ 東島毅ゼミ展 bon clase♯4」(ギャラリー16/京都)

「Black State」(studio J/大阪)

2009年

「New Direction #1 exp.」(トーキョーワンダーサイト本郷/東京)

「クラゲとボタンとドローイング」(GALLERY RAKU/京都)

「京都造形芸術大学 大学院展 SPURT 2009」(ギャラリーAube/京都)

「Reversible – 虹の向こう側は壁だった 東島毅ゼミ展 bon clase♯5」(ギャラリー16/京都)

「NEW DIRECTION展 ♯1.5 exp.」(art project room ARTZONE/京都)

2010年

「京都造形芸術大学修了制作展 2010」(ギャラリーAube/京都)

「京都造形芸術大学大学院オープンスタジオ works」(京都造形芸術大学未来館/京都)

「a.a.t.m   アート アワード トーキョー 丸の内 2010」(行幸地下ギャラリー/東京)

「ghost」(g3/ gallery/東京)

「Trans-plex」(トーキョーワンダーサイト本郷/東京)

【選出学生】寒川裕人

Recent works at TRANS PLEX _TWS Hongo 2Installation,and 1Painting

寒川裕人 / Eugene Kangawa

1989年、アメリカ生まれ。2009年、京都造形芸術大学 情報デザイン学科 プランニングディレクションコース入学。

高校時代より平面・写真などを独学で習得し、制作活動をはじめる。大学入学後、美大選抜展「The Six!09」(東京、art complex center of tokyo)に選出され、ホテルモントレにて開催された「アートフェア京都」に最年少で出品するなど、出展歴多数。

平面絵画、グラフィック、映像、音楽、インスタレーション、更には大型イベントディレクションなど領域を問わず精力的に活動を続ける。

[展覧会歴]

2008年

「Eugene Kangawa×_」(vv/京都)

2009年

「The Six!09」(art complex center of Tokyo/東京)

2010年

「Sequence1」(art project room ARTZONE/京都)

「Art Fair Kyoto」(ホテルモントレ/京都)

「Trans-plex」(トーキョーワンダーサイト本郷/東京)

【選出学生】諫山元貴

壁(2010)

諫山元貴/Genki Isayama

1987年、大分県生まれ。2009年、京都造形芸術大学 美術工芸学科 総合造形コース卒業。2009年、広島市立大学 造形計画学科 現代表現コース入学。

大学在学中の2005年、第1回アーティストサミットにスタッフとして参加。

「エロティシズムにいたる時間感覚」をテーマに「ある物」と「ある物」が交わる瞬間を捉え、双方が侵食しあう痕跡を表すための枠を形作る。土、石膏、花、水、動物の臓物など、様々な素材を使用して映像や立体、平面などを使い作品を展開する。

【展覧会歴】

2006年

宮本亜門プロジェクト 「Hi,若冲展」(石峰寺/京都)

2007年

宮本亜門プロジェクト ART FESTA in OYAMAZAKI 2007 関連企画「自分たちのお茶会をつくる―千利休の心を知って―」(大山崎山荘美術館/京都)

2008年

「なかのなか おくのおく」 (GALLERY RAKU/京都)

「混在からすいだす〜可能にする可能性〜」(art project room ARTZONE/京都)

2009年 広島アートプロジェクト「いざ船内探検!吉宝丸」(吉島地区、キリン木材/広島)

川で芸術「河川敷芸術展」(基町環境護岸/広島)

2010年

「らくらくフェスティバル」(GALLERY RAKU/京都)

「「芸術」の中の「芸術」 Art in Art」(GALLERY RAKU/京都)

【選出学生】橋本優香子

7.work(2010)

橋本優香 / Yukako Hashimoto

1987年、東京都生まれ。2008年、京都造形芸術大学芸術学部 美術工芸学科 洋画コース入学。

現在、京都造形芸術大学 芸術学部 美術工芸学科 総合造形コース在籍。

「とりこぼされてしまうような存在に対する肯定」を作品の主題としてきた。

「呼吸」「浸透」「鼓動」といった言葉から受ける感覚を元に、キャンバスの上に偶発的に発生させた染みから、幾重もの線や色を紡いでいく絵画やフォトグラムなどを制作。

[展覧会歴]

2008年

「Ten Ten 2008」(京都造形芸術大学/京都)

2009年

「Ten Ten 2009」(京都造形芸術大学/京都)

2010年

「らくらくフェスティバル」(GALLERY RAKU/京都)

「海月の骨」(Gallery i/京都)

「Trans-plex」(トーキョーワンダーサイト本郷/東京)

【選出学生】ときカケ

左:藤本亜希 右:中條芙美

「ときカケ」 / toki kake

2010年5月、ファッションデザインの分野で活動する藤本亜希と、イラスト・パフォーマンスなどを発表する中條芙美の2人により結成。

それぞれが持つ、異なった背景のインスピレーションを元に「純粋な気持ちで今表現したいこと」を追求し、デザイン/美術の領域にとらわれない多様な作品を創りあげていく。

藤本亜希 Aki Fujimoto

1988年、兵庫県生まれ。2007年、京都造形芸術大学 空間演出デザイン学科 ファッションデザインコース入学。

[展覧会歴]
2005年

「丸山美術館グループ展」(丸山美術館/兵庫)
2009年

「CUT&SEWN in KYOTO」(元立誠小学校/京都)
2010年

「京都造形芸術大学 学科優秀作品選抜展」(ギャラリーAube/京都)

[受賞歴]
2006年

KBSもっと京都ブランド  読売新聞賞
2010年

京都造形芸術大学 優秀学生賞

中條 芙美 Fumi Chujo

1988年、宮城県生まれ。2007年、京都造形芸術大学 空間演出デザイン学科 空間演出デザインコース入学。

[展覧会歴]
2007年

「ALESSI EXHIBITION」(京都造形芸術大学/京都)
2008年

「オノマトペ展」(ANTIQUE belle/京都)
2009年

「for woater(京都藤井大丸ディスプレイ)」(京都藤井大丸/京都)
「up to you(OPAQUEディスプレイ)」(京都OPAQUE/京都)
「light with」(ギャラリー Aube/京都)
「show your color(OPAQUEディスプレイ)」(京都OPAQUE/京都)
2010年

「Q and…」(同時代ギャラリー/京都)

選出学生決定

新たなウルトラアーティストを育成するべく企画された「ULTRA AWARD 2010」は、この度、最終選考を終えました。
応募総数は42名、内2次選考に進んだ者は11名となり、多くの応募がありました。その中から下記5名の学生が選出されました。

・諫山元貴(美術工芸学科・総合造形コース、2008年度卒業生)
・橋本優香子(美術工芸学科・総合造形コース3回生)
・小宮太郎(芸術研究科・芸術専攻、博士課程1回生)
・ユニット「ときカケ」
藤本亜希(空間演出デザイン学科・ファッションコース4回生)
中條芙美(空間演出デザイン学科・空間演出デザインコース4回生)
・寒川裕人(情報デザイン学科・先端アートコース2回生)

この5名は、これから10月までそれぞれの制作プランをもとに制作を行なっていきます。
そして10月23日~11月7日までART project room ART ZONEにて展覧会を行い作品を発表後、最優秀賞を決定します。
随時、経過等もお伝えしていきますが、選考された学生がどのような作品を創り上げるのか、皆様どうぞご注目下さい。

【審査員】椿 昇

椿昇 / Tsubaki noboru(現代美術家)

1953年京都市生まれ。京都市立芸術大美術専攻科修了。

1993年ベネチア・ビエンナーレ/アペルトに出品。

1953年京都市生まれ。京都市立芸術大美術専攻科修了。1993年ベネチア・ビエンナーレ/アペルトに出品。

2001年横浜トリエンナーレでは室井尚・横浜国立大教授(当時は助教授)と組み、巨大なバッタのバルーン「インセクト・ワールド」を発表。

2003年水戸芸術館個展「国連少年」。2009年京都国立近代美術館個展「GOLD/WHITE/BLACK」。

2010年4月から京都造形芸術大学美術工芸学科学科長。

【審査員】長谷川祐子

長谷川祐子 / Yuko Hasegawa(東京都現代美術館チーフキュレーター)
京都大学法学部卒業。東京芸術大学大学院美術研究科修士課程修了。
水戸芸術館学芸員、ホイットニー美術館研修(ACC奨学金)、世田谷美術館学芸員、金沢21世紀美術館学芸課長(1999-2005)、芸術監督(2005-2006)を経て、2006年4月より東京都現代美術館チーフキュレーター、多摩美術大学芸術学科特任教授。

内外で多くのビエンナーレ、展覧会を企画する。1991年より美術館評論家連盟会員。2001-現在ウェックスナー・センター・フォー・ジ・アーツ国際芸術諮問委員、2008年より西九龍文化地区公社理事、グッゲンハイム美術館アジア芸術委員、犬島ハウスプロジェクト・アーティスティック・ディレクター。

2010年は第29回サンパウロ・ビエンナーレ コ・キュレーター、第12回ヴェニス建築ビエンナーレ アーティスティック・アドバイザーを務める。

【審査員】後藤繁雄

後藤繁雄 / Shigeo Goto(編集者/クリエイティブディレクター)

1954年、大阪生まれ。編集者、インタビュアー、クリエイティブ・ディレクターとして様々なプロジェクトに携わる傍ら、2003年より京都造形芸術大学ASP (Art Study and cultural Production)学科にて教鞭を取る。

写真に関する豊富な経験と熱意から、2008年夏、東京・恵比寿NADiff A/P/A/R/TにG/P gallery、2010年には秋葉原に新設されたアートセンター3331 Arts Chiyoda内にg³/をオープン。

国内外の若手、著名な写真家や現代アーティストの作品を取り扱うとともに、文化的な企画やイベントを通して国際的カルチュラル・エクスチェンジのハブとしてのギャラリーを目指す

【審査員】名和晃平

名和晃平 / Kohei Nawa(彫刻家)

1975年大阪府生まれ。2003年京都市立芸術大学大学院美術研究科博士課程彫刻専攻修了。

2009年よりSANDWICH代表。ビーズやプリズム、発泡ポリウレタン、シリコーンオイルなど様々な素材・メディアを情報化社会における感覚や思考のメタファーとして扱い、鑑賞者の視覚、触覚に訴えかける作品を制作している。

【審査員】浅田 彰

浅田彰 / Akira Asada(批評家)

1957年兵庫県生まれ。

京都大学経済研究所准教授を経て、現在京都造形芸術大学大学院長。

83年、いわゆるポスト構造主義の思想を再構成した『構造と力』を出版、84年の『逃走論』では、「スキゾ」「パラノ」などの流行語を生み、どちらもベストセラーとなる。

哲学・思想史、音楽、舞踊、美術、建築、映画、文学など種々の分野において批評活動を展開している。

【審査員】ヤノベケンジ

撮影:新谷美和

ヤノベケンジ / Kenji Yanobe(ウルトラファクトリー・ディレクター / 美術作家)

1965年大阪府生まれ。1991年京都市立芸術大学大学院美術研究科修了。

1990年瞑想のための体験型作品『タンキング・マシーン』を発表。

97年より原発事故後のチェルノブイリを訪問する「アトムスーツ・プロジェクト」を開始するなど、社会的メッセージをこめる作品を制作し続けている。

現在はウルトラファクトリーディレクターとして、自身の作家活動とともに次世代の才能を育てる活動を精力的に展開している。

京都造形芸術大学 ウルトラファクトリー

【ウルトラファクトリーとは】

2008年6月、京都造形芸術大学に新設された金属加工及び樹脂成型を扱う工房と、木材加工を扱う工房の2つから構成される立体専門工房。技術力/思考力の向上を目的とした類例のない特殊教育を実施。さまざまな実践型プロジェクトを通して、芸術家創造性と美意識、職人が持つ技術上の熟練と制作に対する情熱とをあわせ持ち、社会的自覚を持って行動できる人材の育成を目指す。その活動の中心となるのは、第一線で活躍するアーティストやデザイナーを迎えてのプロジェクト型実践授業[ULTRA PROJECT]。また、[CRITICAL DESIGN LAB.]では、思考するデザイナーを育成、[ULTRA FACTORY PRESS]では、広報戦略/観客創造/記録・アーカイヴを独自の視点で展開。ウルトラファクトリーは、創造的な思考と研究の場であり、また実験的な構想を実現する工房として機能している。

【施設概要】

名称 :ウルトラファクトリー

所在地   :606-8271京都市左京区北白川瓜生山2-116

京都造形芸術大学至誠館B1(ウルトラ工房)及び人間館B2(木工室)

構成 :ウルトラ工房(約700平米)は金属加工・樹脂成形の設備機械を備え、木工室(250平米)は木材加工の設備機器を備える。

主な設備 :アーク熔接機、ガス熔接機、TIG熔接機、半自動熔接機、プラズマ切断機、旋盤、フライス盤、コンターマシン、バイブロシャ、手押し鉋盤、自動鉋盤、昇降盤、横切り盤、ボール盤、パネルソー、バンドソー、ユニバーサルサンダー、角のみ盤、レーザーカッター、カッティングマシーン、大型出力プリンターほか

【開館時間】

火 – 金  10:00~20:00  土10:00~18:00

休館日 : 日・月・祝

【問い合わせ先】

京都造形芸術大学ウルトラファクトリー

TEL:075-791-8482  FAX:075-791-8204

contact@ultrafactory.jp

www.ultrafactory.jp